機動武将まじかる☆呂布リン!(その8)
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シーン3 学校(廊下・保健室へ向かう途中)
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(陳宮、呂布を背負って歩いている)
(陳宮の隣には張遼が並んでいる)
(呂布は陳宮の背中で眠っている)
張遼:重くない? 手伝おうか?
陳宮:いえ、それには及びません 慣れてますし
張遼:あ そう・・・なんだ
(張遼、戸惑った表情で横目で陳宮を見る)
(無言で歩く陳宮と張遼)
陳宮:・・・
張遼:・・・
(やがて張遼、意を決した様に陳宮に話し掛ける)
張遼:あのさ、聞いてもいい?
陳宮:そうですね・・・まあ・・・
(陳宮、煮え切らない返事)
張遼:あのね
陳宮:あ、いや、ちょっと待って下さい
(陳宮、今は呂布が一緒にいる事を張遼に目配せする)
陳宮:今は、その・・・
(張遼、呂布を見る)
張遼:あ、うん・・・そうね・・・
陳宮:すみません
張遼:ううん 謝らなくていいの
呂布:う うーん・・・
(呂布、寝ぼけて身体を動かす)
(呂布の身体が陳宮の背中から僅かに傾く)
張遼:あ、呂布さんが
陳宮:おっと 気をつけないといけませんね
(張遼、呂布の身体を横から支える)
張遼:陳宮くん、ちょっと背負い直して 私、支えるから
陳宮:あ、はい ありがとうございます
(陳宮、身体を揺すって呂布を背負い直す)
陳宮:これでいいですか?
張遼:うん いいみたい、かな
(呂布、揺すられた拍子で半分目が覚める)
呂布:(え・・・ここは・・・どこ?)
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シーン4 学校(廊下・呂布のモノローグ)
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(呂布、陳宮の背中で寝ぼけている)
呂布:(あれ・・・わたし どうしたのかな)
呂布:(たしか きょうしつにいたはずなのに)
呂布:(そうだ きゅうにねむたくなって)
呂布:(それで めのまえが、まっくらになったんだっけ・・・)
呂布:(なんか、あったかいな)
呂布:(あれ、このかんじ・・・これ、まえにもあったよね?)
呂布:(なんだっけ おもいだせそうなのに)
呂布:(ねえ あなた、だれ?)
呂布:(わたし、しってるよね? あなたのこと)
呂布:(あなたはまえにも わたしを たすけてくれたよね?)
呂布:(それで、あのときも わたしを はこんでくれたよね?)
(呂布の脳裏に一瞬だけ人間のシルエットが浮かぶ)
呂布:(そっか・・・ やっとおもいだ し た・・・)
(呂布、再び眠りに落ちていく)
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シーン5 学校(保健室その1)
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(引き戸の前に立っている陳宮と張遼)
(『保健室』とかかれたプレートが引き戸の上方に掛かっている)
(陳宮、振り向いて肩越しに呂布の様子を見る)
(呂布は安心したような寝顔)
陳宮:よく眠っているようですね
張遼:うん・・・そう、ね・・・
(張遼、寂しそうな表情で呂布を見る)
張遼:(陳宮クンは、やっぱり呂布さんがいいのかな・・・)
陳宮:すいません、張遼さん ノック、お願いできますか?
張遼:・・・
陳宮:あの 張遼さん?
(張遼、陳宮の声で我に返る)
張遼:え?
陳宮:どうかしましたか
張遼:ううん、ゴメンね それで何かしら?
陳宮:保健室の扉、ノックをお願いします
張遼:あ、うん
(張遼、引き戸をノックする)
(コンコン)
張遼:失礼しまーす
(張遼、引き戸の取っ手に手をかけ開く)
張遼:すいませーん・・・ってあら?
(張遼、保健室の中を見渡す)
(張遼に続いて陳宮も入室する)
陳宮:失礼します 張遼さん、何かありましたか?
張遼:それが保健室の中、誰もいないのよ
(張遼、困ったように肩をすくめる)
(陳宮、脇の壁を見る。ホワイトボードが掛かっている)
(ボードに『かいぎちゅうです しばらくすればもどります』とペンで書いてある)
※↑『低学年向けに書き残した』という事で平仮名でお願いします
陳宮:ふーむ 会議みたいですね
張遼:あ、ほんとだ
陳宮:仕方がありませんね 勝手にベッドを使わせて貰いましょう
(陳宮、部屋の奥に並べてあるベッドへ向かう)
(張遼、その後を追う)
(保健室の奥には空いたベッドが2床並んで置いてある)
(ベッドの枕元と足元に金属の柵があり何の飾り気もない)
(柵は表面のペンキが剥がれかけ、所々赤錆が浮いている個所がある)
(敷き布団には白いシーツが敷かれ、その上に半分折りたたまれた状態で掛け
布団が乗っている)
(天井にはベッド囲むようにカーテンレールが設置されている)
(レールからは畳まれた状態で少し黄ばんだ白いカーテンが左右にぶら下がっている)
陳宮:それじゃ 張遼さん、降ろしますよ?
張遼:いいわ どうぞ
(陳宮、ベッドに背を向け呂布を降ろしにかかる)
陳宮:よっ・・・と
(張遼、呂布の身体を支えて陳宮を手伝う)
張遼:そのまま降ろしていいわよ
陳宮:はい
(張遼、陳宮の背から呂布が降ろし、ベッドに寝かせる)
張遼:いいわよ じゃ、陳宮くんはちょっと出てね?
(張遼、陳宮の背中を押しやってベッドから少し距離を離す)
(押される陳宮)
陳宮:なんですか?
(張遼、ぶら下がったカーテンを持って、引く)
(『ジャッ』と言うカーテンレールを滑る音)
(張遼、呂布のベッドを天幕のようにカーテンで覆ってしまう)
陳宮:あの、張遼さん?
張遼:すぐすむから、待って あ、それから陳宮くんは入っちゃダメよ?
(張遼、カーテンの内側に入ってしまう)
陳宮:ちょっと、張遼さん!?
(張遼、カーテンの合わせ目から顔だけ出す)
張遼:なに? 静かにしないと呂布さん起きちゃうわよ
(陳宮、緊張した顔)
陳宮:何をするつもりですか?
(張遼、呆れたように溜め息をつく)
張遼:もぉ〜 こういうのは鈍いんだからぁ〜
陳宮:えっ?
張遼:襟元とか服を緩めてあげるの 呂布さんの
陳宮:あ ああ、なるほど
張遼:だから入っちゃダメ
陳宮:しかし・・・
張遼:何もしないわよ
(張遼、ちょっと落胆したような表情になる)
張遼:私は・・・もう
陳宮:いえ、わかりました お願いします
張遼:うん
(張遼、再びカーテンの内側に入る)
(カーテン越しに会話する陳宮と張遼)
(張遼、呂布の服を緩めながら話す)
(カーテンには陳宮のシルエットが映っている)
張遼:ねぇ 陳宮くん
陳宮:はい?
(張遼、呂布の胸元を緩める)
張遼:中から締め出されて残念だった?
陳宮:そんな事はありませんよ
張遼:ほんとに? 私がついて来なかったら今頃は陳宮くんが呂布さんの服を
(陳宮、慌てて途中で張遼の言葉をさえぎる)
陳宮:そ、そんな事ありませんよ! 何言ってるんですか!
張遼:うふふっ
(張遼、ふいに寂しそうな表情)
張遼:・・・それとも
(張遼、小さく呟く)
張遼:私って、陳宮くんにとって邪魔者・・・?
陳宮:何ですって? よく聞こえなかったんですが・・・
張遼:独り言 気にしないで
陳宮:とにかく、一緒に来てくれて良かったと思ってますよ 本当に
(張遼の手がピタリと止まる)
張遼:えっ・・・?
(張遼、俯いて頬がちょっと赤くなる)
張遼:ま、まあ せいぜい感謝してね
(張遼、再び手を動かす。呂布に布団を掛ける)
張遼:さあ、これでよしっと
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シーン6 学校(保健室その2)
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(張遼、カーテンの中から出てくる)
張遼:おまたせっ
(後ろ手にカーテンを閉める張遼)
陳宮:どうも助かりました
張遼:ううん、いいの それよりこれからどうしよう?
(陳宮、壁掛け時計を見る)
陳宮:そうですね・・・
(陳宮につられて張遼も壁掛け時計を見る)
陳宮:僕は保健室に先生が戻ってくるまでちょっと待とうと思います 呂布さ
ん一人だけにするのも気が引けますし
張遼:えーと、じゃあ私も待つ 折角だから付き合うわ それにもう少しで休
み時間だしね
陳宮:すみませんね
張遼:いいのよ、気にしないで それよりも聞きたい事があるの
陳宮:しかし・・・
張遼:呂布さんならよく寝てるし大丈夫
(陳宮と張遼、呂布が寝ているベッドの方へ揃って首を回す)
(カーテンの向こう側は静かで物音がしない)
陳宮:ではなるべく小声でお願いします
張遼:うん
(陳宮と張遼、室内に置いてある丸椅子に座る)
陳宮:それで、聞きたい事とは何ですか?
張遼:あのね・・・
(張遼、口を開きかける)
(ドスン)
(何かが落ちる物音)
(陳宮と張遼、カーテンを見る)
陳宮:ん? 今の音は?
張遼:呂布さんだと思う・・・私、見てくる
(張遼、カーテンを開き中へ入る)
(その背中を見ている陳宮、小さくポツリと呟く)
陳宮:やはりここでは無理みたいですね
(張遼、呂布のベッドの傍に立つ)
(呂布が何度か寝返りを打ったせいか、ベッドは多少乱れている)
(しかし、呂布自身の姿はベッドにない)
張遼:あれ? 呂布さん? ・・・あ!
(張遼、呂布の姿を見て苦笑)
張遼:あらあら・・・しょうがないわねえ
(呂布はベッドから転げ落ち、床で寝ている)
(緩められた胸元が呼吸で上下し、スヤスヤと安らかな寝息を立てている)
(カーテンの向こう側から陳宮の声がする)
陳宮:どんな様子ですか?
張遼:呂布さん、ベッドから転げ落ちたみたい 多分、寝返りを打った拍子に
落ちたんじゃないかしら
陳宮:大丈夫そうですかね
張遼:うん よく寝てる
(張遼、呂布を抱きかかえて再びベッドに寝かそうとする)
張遼:よいしょっ
呂布:うぅ〜ん・・・?
(呂布、半目を開く)
(呂布、寝ぼけた調子で話す)
呂布:あぅ、張 遼さん? ここ、どこ?
張遼:保健室 まだ寝てていいわよ
呂布:そう、なの わ かった・・・
(目を閉じる呂布)
(張遼、呂布をベッドに寝かしつけながら喋る)
張遼:陳宮くん やっぱり話、やめておくね ここは余り良くないみたい
陳宮:場所を変えますか
(張遼、呂布に布団を掛ける)
呂布:・・・
張遼:そうね・・・いずれは呂布さんにも知られる事だし
(張遼、カーテンの内側から出て、また後ろ手で閉める)
(張遼がカーテンを閉じると同時に保健室出入り口の引き戸がガラリと開く)
(白衣を着た養護教諭が入ってくる)
陳宮・張遼:あ
養護教諭:あら? あなた達どうしたの?
張遼:いえ、私達は何ともないんです 付き添いです
養護教諭:そうなの で、誰の具合が悪いの?
陳宮:同じクラスの呂布奉先さんです 今はベッドで寝ています
(養護教諭、カーテンが引かれたベッドを方を見る)
養護教諭:ふうん・・・わかったわ あとは私がやるからあなた達は自分の教
室に戻りなさい
陳宮・張遼:はい
(保健室から出ていく陳宮と張遼)
(陳宮は出る際に一瞬、呂布の方を見る)
陳宮:・・・
張遼:ね、行きましょ?
陳宮:はい
張遼:・・・後で屋上でどうかしら?
陳宮:解りました
張遼:ごめんね、我侭言って
陳宮:いえ
(引き戸が閉じられる)
養護教諭:あの子達、確か例の転校生だったかしら・・・? まあ、いいわ
(養護教諭、カーテンの中に入りベッドを覗き込む)
(呂布はまだ眠っている)
養護教諭:・・・うん、しばらく様子を見よう
(養護教諭、ベッドからはなれカーテンの外に出て行く)
(ベッドの上の呂布、半目を開く)
呂布:(おくじょう・・・?)
(休み時間を知らせるチャイムが鳴る)
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アイキャッチ
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「機動武将まじかる☆呂布リン!」
第11話 『ちんきゅうクンとだいせっきん!?(仮)』Bパート
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シーン1 学校(屋上)
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(校舎に取り付けられた時計は昼休みを指している)
(頭上には曇りがちな灰色の空が広がる)
(屋上の周囲は高いフェンスに囲まれている)
(屋上出入り口の扉のアップ)
(扉はアルミサッシで窓の部分に鋼線入りのガラスがはめ込まれている)
(ガラス越しに人のシルエットが映り話し声が聞こえる)
陳宮の声:それで呂布さんの様子はどうでしたか?
張遼の声:まだ寝てたわ 今日は放課後まで寝てるんじゃないかしら?
(扉のノブが回転して内側から開く。現れたのは陳宮と張遼)
(陳宮、張遼の順番で扉から出てくる)
(会話しながら出てくる)
陳宮:そうですか
張遼:呂布さん、どうしたのかしらね
陳宮:うーん・・・
(張遼、屋上へあがると扉を閉める)
(『バタン』と音がして閉まる)
(屋上の真ん中辺りまで歩く2人)
(そこで立ち止まる張遼)
(張遼の横顔が緊張する)
張遼:さてと 陳宮くん、ここでならいい?
(陳宮、立ち止まる)
(陳宮、周囲を見回して他に誰もいない事を確認する)
陳宮:・・・そう、ですね
(屋上は風が強く、雲も早く流れていく)
張遼:風、出てきたね・・・
陳宮:ええ
張遼:・・・
(張遼、深く息を吸い込み、吐き出す)
張遼:陳宮くん あ、ありがとう・・・
陳宮:え?
(陳宮、ちょっと面食らう)
陳宮:あの・・・どういう意味ですか
(張遼、うつむいて頬を少し赤くする)
張遼:その 私を建設予定跡地から連れ出した後・・・私を介抱してくれて
陳宮:あ、その事ですか
張遼:お礼、ちゃんと言ってなかったから・・・
陳宮:いえ、どういたしまして
(張遼、不思議そうな顔をして尋ねる)
張遼:それにしても、何で私を介抱してくれたの?
陳宮:あれは放置しておいたら症状が悪化すると聞いた事があったので・・・
以前、別の所で似たような事があったんですよ
(張遼は何か思い当たるのか表情が若干曇る)
張遼:そっか・・・
陳宮:それに張遼さんは本心から恆に従っている訳ではないようだったので、
この際だから恆のところから連れ出すにはいい機会だと思ったんです
張遼:え! 本心じゃないってどうして解ったの?
陳宮:何となく、ですよ
張遼:嘘でしょ? 本当は?
陳宮:本当に何となくですよ 強いて言うなら普段の張遼さんの振る舞いから
判断しました
張遼:私の? ふーん・・・?
(張遼は首を傾げが、何か思いつく)
張遼:あっ そう言えば陳宮くん、私を介抱してくれた時にこう言ったよね?
『私は陳宮くんに捕虜にされた』って
陳宮:ええ、確かにそう言いましたが・・・
張遼:あれってどういう事なの?
陳宮:あれはですね『張遼さんを僕が捕虜にした』としておけば都合が良いか
と思ったんです
(陳宮が一呼吸置くと、張遼は黙って続きを促す)
陳宮:何らかの事情が張遼さんにあり、張遼さんは自分から恆の所を抜け出
す事が出来なかった・・・これは僕の勝手な想像ですが
張遼:・・・
陳宮:そこで『捕虜になった』としておけば張遼さんは自主的に恆の所を抜
け出した訳ではなく、やむを得ず降参した という風に出来ます 僕も
張遼さんを捕らえたという手柄があれば、内部で動きやすくなります
(陳宮、肩をすくめる)
陳宮:・・・こういうやり方は余り好きではないのですけどね
陳宮:いずれにしろは捕虜というのはあくまで便宜上なので自由にしてくれて
構いません
(陳宮、穏やかに笑う。対照的に張遼は戸惑っている)
張遼:自由って、どうして解放してくれるの?
陳宮:僕達の目標はあくまで打倒董卓であって張遼さんではありません
張遼:それは・・・本当に?
陳宮:いいえ 建前ですけど、一応の目標であるという事で
張遼:私を解放を決めたのは誰?
陳宮:僕です 僕の判断で決めました
(張遼、驚く)
張遼:えっ!? ちょっと、そんな事して大丈夫なの
陳宮:事後承諾という形で認めさせました
張遼:よくそんな事が・・・
陳宮:まあ、色々ありましてね
張遼:そっか・・・じゃあ結局は全部陳宮くんのお陰だったのね・・・
(陳宮、今思い出したかのように)
陳宮:あっ そう言えば一つ、お願いがありました
張遼:何?
陳宮:自由と言っても再び恆側につく、なんて事はできれば勘弁して下さい
張遼:そんな事はしないわ・・・もう二度と董卓なんかには従わない
陳宮:そうですか・・・
張遼:あの、陳宮くん
陳宮:はい?
(張遼、頬を染めて俯く)
張遼:あ、ありがとうね・・・ほんとに
(陳宮、照れくさそうに顔を逸らす)
陳宮:そ、それで話とはその事だったんですか?
(張遼、顔を上げる)
張遼:あ、ううん 違うの それとは別の話があるの あ、もちろんお礼も言
いたかったんだけど・・・
(陳宮、張遼に向き直る)
陳宮:別の話とは?
(張遼、改まって陳宮を見る)
張遼:私、あなたに協力をしたいの
陳宮:協力 ですか?
張遼:だって私、陳宮くんの敵だったのに助けてもらって・・・だからお返し
がしたいの
陳宮:『助けた』だなんて大げさですよ お返しなんて結構です
張遼:ううん それじゃ私の気がすまないの
(陳宮は申し訳なさそうに答える)
陳宮:え、うーん 有り難いんですが・・・気持ちだけで結構ですよ
張遼:でも・・・
(陳宮、腕を組んで考え込む)
陳宮:うーむ・・・では、すいません ちょっといいですか?
(陳宮は張遼の顔色を伺いながら尋ねる)
張遼:何? 何?
(逆に張遼は身を乗り出して陳宮に迫る)
張遼:ねえ 私、何すればいいの?
(張遼、頬を染めて恥ずかしそうに言う)
張遼:陳宮くんの言う事なら、わ 私、何でもするから だから、その・・・
陳宮:あの、張遼さん?
(張遼、上の空)
張遼:あのね、す 少しくらい恥ずかしい事でも、その・・・私、頑張ってす
るから 屋上には今、私達しかいないし・・・
陳宮:もしもし?
張遼:あっ、でも校庭にはまだ他の人とか残ってるかも それでもし、誰かに
見られたら・・・きゃっ ど、どうしよう?
(張遼は頬に両手を当て目を閉じ、首を左右に振る)
陳宮:あの張遼さん、一体何を言ってるんですか・・・?
(現実に引き戻された張遼、目をしばたかせる)
張遼:・・・え? 違うの?
陳宮:董卓について、の事なんですがよろしいですか?
(張遼は残念そう)
張遼:え、恆? なーんだ
張遼:・・・それで何かしら?
陳宮:答えにくければ別に無理をしてくれなくても結構です
(陳宮、言いにくそうに続ける)
陳宮:その、多少の義理もあるかもしれませんし・・・
(張遼、ゆっくりと首を左右に振る)
張遼:ううん もう、いいの
(張遼、晴れた表情で陳宮を見る)
張遼:さっきも言ったけど、もう私・・・董卓には従わないから
陳宮:・・・わかりました では董卓が汗をかいた所を見た事はありますか?
張遼:うーん・・・特に稽古や運動とかしてる所を見た事は・・・
陳宮:暑い時の汗とかそういうのでもいいんです
張遼:汗、ねぇ 汗、汗・・・
(張遼はこめかみに人差し指を当て、首を傾げて何とか思いだそうとする)
(しばらくそのままの姿勢で固まる張遼)
張遼:・・・あ
陳宮:何か思い当たりましたか?
(今度は陳宮が身を乗り出す)
張遼:そう言えば一回だけ、変な所を見た・・・ような気がする
陳宮:それは?
張遼:以前、屋敷の廊下ですれちがった時、理由は解らないけど董卓が顔に汗
をかいていた時があったのよ その時、汗が顔で固まったような そん
な風に見えた事があったの
陳宮:本当ですか?
(詰め寄る陳宮)
(陳宮の顔が間近に迫ったので張遼、少しだけ赤くなる)
張遼:え、ええ・・・
張遼:『あれっ?』と思ったんだけどすぐに行っちゃったから確かめてはいな
いんだけど・・・
(陳宮、張遼から離れる)
陳宮:そうですか・・・なるほど
(陳宮、一人で納得した様子)
張遼:ねぇ、何でそんなこと気になるの
陳宮:え、ええ まぁ ちょっと思う所がありまして
張遼:それにそんな事なら昨日でも教えたのに
陳宮:昨日は香の件もあって控えさせてもらいました 落ち着いてから訊こう
と思ってたんです
張遼:ふーん そうなの・・・?
陳宮:ありがとうございます
張遼:そんな、お礼なんて言わないで!
陳宮:いえ、貴重な情報です お返しには十分すぎます
(向かい合う陳宮と張遼の間に水滴が一つ、落下)
張遼:こんなのお返しの内に入らないわ ねえ、もっと何でも言って?
(屋上に床に小さな濡れ染みを作る)
陳宮:おや?
張遼:あら?
(張遼、上空を見上げながら胸の前に手の平を出す)
(張遼の手にポツリ、ポツリと雨が降り始める)
張遼:あ、いけない! 降ってきちゃった!
陳宮:中に戻りましょう!
張遼:うん!
(張遼・陳宮は小走りで屋上出入り口へ向かう)
(入りながら話をする二人)
陳宮:今日は降らないと思っていたのですが
張遼:放課後までに止むといいわね
陳宮:そうあって欲しいです
張遼:陳宮くんは今日、帰り遅いんだっけ?
陳宮:えーと、そうですね 確か掃除当番、あと学級日誌もつけないと
張遼:あ、そうなの 実は私も今日は委員会があって
(扉に辿り着く二人)
(張遼は扉のノブへ手を伸ばしかけるがその手を一旦止める)
張遼:あら?
陳宮:何かありましたか?
張遼:え、うん おかしいな
(首を傾げる張遼)
張遼:扉はきちんと閉めたつもりだったのに・・・
(よくみると扉が少し開いている)
陳宮:・・・そうですか
(陳宮、やけに神妙な顔)
張遼:陳宮くん?
陳宮:何でもありません 早く中に入りましょう
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シーン2 学校(昇降口)
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(外ではまだ雨が降り続いている)
(時計は針は放課後の時間を指している)
(昇降口のガラス戸は開放されていて、外からは雨音が聞こえてくる)
(下駄箱が本棚のようにいくつも並んでおり、生徒の姿はなくがらんとしている)
(陳宮、下駄箱の前で外を向いて立っている)
(陳宮は外履きの履いているが、外には出ようとせずに外を見ている)
(困ったような顔の陳宮)
陳宮:(参りましたね 今日は降らないと思っていたのですが・・・)
(校舎の奥の廊下から歩いてくる張遼)
(張遼は片手に鞄を持ち、反対の手に桃色の傘を持っている)
(張遼の位置から昇降口に立つ陳宮の後ろ姿が見える)
(歩いてきた張遼、陳宮に気付いて立ち止まる)
張遼:(あれ? あそこに居るのは陳宮くん?)
(陳宮は途方に暮れたように立っている)
張遼:(どうしたのかしら・・・傘、ないのかな?)
張遼:(そうだ 陳宮くんを誘ってみよう!)
(張遼は陳宮に呼びかけようとして口を開く)
張遼:あの
(すると不意に下駄箱の陰から呂布の姿が現れる)
呂布:陳宮クン!
(陳宮は呂布の方を向く)
陳宮:呂布さん?
(呂布は鞄と白い傘を持っている)
張遼:あ・・・
(張遼、咄嗟に廊下にある柱の陰へ隠れる)
張遼:(ヤダ 私、何で隠れるのよ!?)
(張遼は柱の陰からそっと顔を出し、様子を伺う)
(呂布、陳宮に近づく。二人とも張遼に見られている事には気付かない)
陳宮:まだ残っていたんですか? 先ほど保健室へ様子を見に行ったら、もう
出て行ったと聞いたのですが
呂布:あ、うん・・・まあ、ね 陳宮クンはどうしてのこってたの?
陳宮:掃除をしたり学級日誌をつけたりしてたので残ってました
呂布:もうおわったの?
陳宮:はい
呂布:じゃあ いま、かえりなの?
陳宮:そうです 呂布さんも今帰りですか?
呂布:うん
(呂布、陳宮の手を見る)
呂布:あれ? かさはどうしたの?
陳宮:今日は降らないと思って持って来なかったんです
呂布:そうなの・・・じゃあ、いっしょにかえろ? わたしのかさにいれてあ
げる
陳宮:いいんですか?
(呂布、頷きながら傘を開く)
呂布:いいの
(呂布は小さな声で続ける)
呂布:・・・はじめから、陳宮クンをさそってかえるつもりだったし・・・
陳宮:え?
呂布:なんでもないの さ、はいって
(陳宮、ちょっと迷う。だがすぐに返事をする)
陳宮:・・・ではそうさせて貰います
呂布:どうぞ
(傘の中に入る陳宮)
陳宮:あの、傘は僕が持ちます
呂布:え、いいよぉ
陳宮:いえ 入れて貰ってるのは僕ですし 持たせて下さい
(陳宮、傘の柄に手を伸ばす)
(柄を持つ呂布の手と陳宮の手が触れる)
呂布:あっ・・・ そ、それじゃあ、おねがいしちゃおっかな?
陳宮:はい
(呂布は柄から手を離し、陳宮が柄を持ち直す)
陳宮:どうも
呂布:それじゃ、いこっ
(並んで歩き出す呂布と陳宮)
(昇降口の軒下を出ていく)
(張遼、柱の陰から出てくる)
張遼:・・・
(張遼は遠ざかる相合傘を寂しそうに見つめてる)
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シーン3 通学路
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(住宅街の道を相合傘で歩いていく呂布と陳宮)
(道の左右はブロック塀や生垣で仕切られている)
(道路が交差している辺りは塀で視界が遮られている)
(相合傘はややゆっくりとしたペースで歩いている)
(道路には他に人通りもなく、車が走ってくる気配もない)
(雨が呂布の傘に当たり、水滴が跳ねる音がする)
(呂布も陳宮も神妙な顔つきで歩いている)
(二人とも無言)
(呂布は唐突に手を差し出す)
(陳宮、呂布の手を見る)
陳宮:あ・・・
(呂布の手には陳宮のハンカチが握られている)
(陳宮の顔が強張る)
(呂布は歩きながら静かに言う)
呂布:これ、わすれものだよ 陳宮くんのだよね? はい、どうぞ
(陳宮、呂布からハンカチを受け取る)
陳宮:・・・どうも ありがとうございます
(陳宮は呂布の横顔を見るが、すぐ前を向く)
呂布:そのはんかちね・・・ひろったの こうじげんばのあとちで
陳宮:そうです か
呂布:・・・
陳宮:・・・
(またしばらく無言で並んで歩く二人)
(雨が降る音のみが静かに響く)
(並んで歩いていた呂布、急に俯いて立ち止まってしまう)
(陳宮、気付かずに歩いてその場に呂布を置いてきぼりにしてしまう)
(呂布の身体が傘の下から外れる)
(陳宮は2歩進んで呂布の事に気付く)
陳宮:ん?
(陳宮も立ち止まり後ろを振り返る)
陳宮:呂布さん?
呂布・・・
陳宮:濡れてしまいますよ?
(陳宮、腕を伸ばして傘を差し出す)
(呂布の頭上に傘が被さり、今度は陳宮の身体が傘の外になる)
呂布:陳宮クン
(呂布、顔を上げる。真剣な目で真っ直ぐ陳宮を見つめている)
陳宮:・・・なんでしょう
(陳宮、傘を持つ腕に力が入る)
(呂布は穏やかな調子で話し出す)
呂布:わたしね、さっき やっとおもいだしたの
(呂布、一呼吸置く)
呂布:董卓のやしきから だれが、たすけてくれたのか
(傘を差し出した姿勢のまま固まる陳宮)
陳宮:・・・
呂布:それから、さっきのこともきいちゃった
呂布:陳宮クンたちにね ほけんしつまでつれていったくれたおれいがいいた
かったの それでわたし、おくじょうまでいったの
呂布:でいりぐちのとびらをあけようとしたら、はなしごえがきこえた・・・
きくつもりはなかったの でもね、きいちゃった
陳宮:やはり、聞かれていましたか
呂布:ねえ、陳宮クン あなたはいったいなにものなの?
(陳宮、顔を逸らす)
陳宮:・・・
(呂布、陳宮の顔を覗き込んで言う)
呂布:おしえて くれる、よね?
(傘の中から陳宮を見る呂布)
呂布:・・・
(雨に打たれながら呂布を見る陳宮)
陳宮:・・・
(二人とも無言)
(やがて陳宮は覚悟を決めたように呂布を見て、口を開く)
陳宮:僕は・・・義勇軍に参加をしている勢力に所属する一人です
呂布:ぎゆうぐん・・・じゃあ、わたしのこと、赤兎ちゃんのこと、ぎょくじ
のこと そういうことみんなしってたの?
陳宮:・・・はい
呂布:いままで、わたしが恆たちとたたかったことも?
陳宮:知っていました
呂布:なんで? なんでそんなだいじなこと、いままでおしえてくれなかったの?
陳宮:すいません・・・
呂布:わたしが陳宮クンのてきだから?
陳宮:それは違います 僕は呂布さんを敵だとは思っていません
呂布:じゃあなんで!?
陳宮:それは・・・
(陳宮、言葉に詰まる)
(呂布、声が震える)
呂布:ねえ陳宮クン いままで、わたしをだましてきたの?
陳宮:騙すつもりはありませんでした でも・・・今まで隠して来たのは事実
です
呂布:そ それじゃ、もしかして あなたも董卓みたいにぎょくじをさがして
いるの?
陳宮:・・・そうです
(無言の陳宮。呂布の目が涙で潤んでくる)
呂布:うそだよね? ほんとはそんなこと、ぜんぜんないよね? ね?
(呂布は懇願するように陳宮を問いただす)
呂布:じょうだんだよね? わたしをからかってるだけだよね? わたし、あ
たまがあんまりよくないから、それにきがついてないだけだよね? ね?
ねえってば!
(呂布、陳宮の肩を掴んで訴えかける)
(呂布は陳宮を揺する。呂布の目から涙がこぼれ落ちる)
(呂布は泣き声になって来る)
呂布:『ほんとうはちがう』っていって! 『じょうだんだよ』っていって!
『からかっている』いってよ!
(呂布にされるがままの陳宮)
(しばらくして呂布は揺するのを止める)
呂布:うっ・・・うっ・・・ねぇってばぁ・・・・
(陳宮、絞り出すように返事をする)
陳宮:・・・本当です
(呂布、陳宮から手を離す。首を大きく左右に振りながら後ずさりする)
呂布:や・・・いや いや
(呂布、涙声)
呂布:いやぁああぁっっ!!
(呂布、陳宮に背を向けてその場から駆け出す)
陳宮:呂布さんっ!?
(手を伸ばす陳宮)
陳宮:待って下さい! 呂布さん!
(陳宮も呂布を追って走り出す)
(頭から雨に降られながら走っている呂布と陳宮)
(陳宮、走りながら呂布に呼びかける)
陳宮:呂布さん! 呂布さん!
(呂布は陳宮から逃げるように無我夢中で走る)
呂布:うっ・・・うぅ・・・
(呂布の目尻からは涙が流れている)
(陳宮、必死で呂布を追うが引き離される)
陳宮:待って下さい!
(更に引き離される陳宮。呂布の姿が徐々に遠くなって行く)
(すると呂布は急に道を曲がってしまう)
(住宅の壁に邪魔をされて呂布の姿が見えなくなる)
陳宮:あっ!?
(陳宮も慌てて呂布に続いて角を曲がる。しかし既に呂布の姿はない)
陳宮:しまった!
(立ち止まり道を見回す陳宮。しかし呂布はいない)
陳宮:呂布さん? 一体どこへ・・・
(途方に暮れて立ち尽くす陳宮)
陳宮:呂布さん・・・
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シーン4 公園
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(雨が降りしきる公園)
(その公園の広場の中央に人のシルエットがある)
(雨がカーテンのよう降っている為、シルエットはぼやけて見える)
(シルエットに近づくと、立っている呂布である事が解る)
(呂布、ずぶ濡れになったまま、下を向いて肩を震わせている)
(両腕の拳を固く握り締め、ボロボロと涙をこぼす)
呂布:うぇ・・・ ひっく ひっく・・・そんな・・・いやだよぅ・・・そん
なのって・・・
(呂布の背後に何者かが近づき、腕を伸ばす)
(その手には傘の柄が握られている)
呂布:うぐっ・・・ひっく・・・
(呂布の頭上が急に桃色の影に覆われる)
呂布:ひっく・・・えっ?
(驚いて上を見る呂布。呂布の視界には桃色の傘が見える)
呂布:だ、だれ?
(振り返る呂布。そこに居たのは張遼)
呂布:え、あ! 張遼さん!?
(張遼は優しく語りかける)
張遼:あらら、随分大変そうね?
(呂布、後ずさりして張遼から離れる)
呂布:な、なにをするき!?
張遼:何もしないわ ただ、話がしたくて
呂布:わたし、しってるわ ほんのちょっとまえまで、あなたが董卓のけらい
だったこと
張遼:そっか・・・屋上に来てたのね
(呂布、張遼を睨みながら無言で頷く)
張遼:盗み聞きは感心できないわ・・・と言いたい所だけど
(張遼、呂布をよく観察する)
(呂布は全身ずぶ濡れになっている)
張遼:あらあら・・・酷い格好ね このままだと風邪を引くわ とりあえずウ
チに来て
呂布:・・・わな、でしょう? そうはいかないわ
張遼:あら、そんな事ないわよ
呂布:だって、張遼さんは董卓のけらいだったじゃない!
(張遼、肩をすくめる)
張遼:でも今はもう、家来でも何でもないわ あなたも聞いてたんでしょ?
呂布:それは・・・そう、だけど
(言葉に詰まる呂布)
張遼:それにこう言っちゃなんだけど、罠ならもっとうまく張るわ それに本
当に私があなたの敵なら罠なんて面倒な事はしないわ さっき声をかけ
る前に背中から攻撃してたけど?
呂布:う・・・で、でも
張遼:私はもう董卓の家来じゃないから、あなたをどうこうしても今更何の意
味もないのよ
呂布:・・・
張遼:それでも罠だと思うなら赤兎馬を呼んでも構わないし、戟を取り出して
も構わないわ・・・まだ疑う?
(呂布と張遼はお互いを見据える。二人の視線が交錯する)
呂布:(うそ ではないみたいね)
(呂布、どうにか納得して返事をする)
呂布:・・・わかった いく
張遼:決まりね ほら、こっちに来て 本当に風邪引くわよ
呂布:いまだけよ?
張遼:はいはい 解ってるわよ
(張遼、呂布を自分の傘に招き入れる)
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第11話終了
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「機動武将まじかる☆呂布リン!」
第12話 『わたしくんしゅになっちゃった(仮)』Aパート
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シーン1 董卓の屋敷(地下室)
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(暗い通路。壁の蝋燭が頼りない明りを灯している)
(通路の奥から足音と話し声が聞こえてくる)
(やがて姿を現す董卓と付き従う李儒。歩きながら会話)
董卓:ふむ・・・で?
李儒:はい、張遼からの連絡がない所を見ると、奴が敵の手に落ちたのは間違
いないでしょう
董卓:そうか
李儒:いかが致しますか? 張遼を救出する策もありますが
(董卓、何のためらいもなく答える)
董卓:いや、その必要はない あれに比べれば、張遼ごときはどうでもよい
李儒:しかし捨てるには惜しいと思われますが
董卓:もともとあの時、たまたま拾った物に過ぎぬ そこまでする必要はなか
ろう・・・捨て置け
(事務的に答える李儒)
李儒:左様でございますか ではそのように致します
董卓:それより状況はどうなっておる
李儒:予定では一両日中にも稼動可能な状態になります
(董卓、疑いの目で李儒を見る)
董卓:真に大丈夫なのであろうな? 前回の如く一度動いただけで停止となっ
ては困るぞ
李儒:ご安心を 前回の事は予定の内にございます
董卓:しかしのう・・・
李儒:後ほど二回目の動作試験を行います故、それを見れば殿のお気持ちも変
わりましょうぞ・・・さ、着きました
(通路の端まで辿り着いた董卓と李儒)
(行き止まりの壁には大きな扉が立ち塞がっている)
(李儒は扉の取っ手に手をかけ、力を込めて開く)
(ゴゴゴゴ・・・扉が重厚な音を立てて開かれていく)
(扉が開くと通路の空気が部屋に流れ込んでいく)
(李儒は扉を半分ほど開いた所で取っ手から手を離す)
(扉の奥は真っ暗な部屋)
(部屋の中は通路の灯りが射し込む部分だけ照らされている)
(董卓と李儒、部屋の奥を見つめているが、蝋燭の灯りは届かない)
(奥の壁に何かが潜んでいるようだが、闇に隠れて見る事はできない)
董卓:今は大人しいな
李儒:はい 封印を重ねて厳重に押さえつけてある故、今は安全です
董卓:御する術はどうなっておる? あの時は結局、勝手に動き回っただけで
あろう まして余にその牙を向ける様な事あらば話にならんぞ
李儒:その点については抜かりなく
董卓:何としても早く実戦で使えるようにせよ さすれば、我が勝利は揺ぎ無
きものとなる
(李儒、頭を下げる)
李儒:心得て御座います・・・では早速作業に入ります
董卓:うむ
番外編
> 投稿者: 投稿日:2003/10/18(土)11時06分13秒 ★ ◆
> §
> §
> ○
> || ←秋華賞で負けた陳宮
> |
> ′
> 努 力 は 報 わ れ な い よ ・ ・ ・
> \
> \ −−||
> −−-||
> | ||__/
> | ||___/
> | || |
> ○ || |
> ノ□| || ○
> ハ ||ノ□ヽ
> 土曜の呂布|| ハ
> ||日曜の呂布
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あやしいわーるど@呂布濮陽 からの転載をまとめたものです。
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