かつてチンポ測定委員会だった男(その7)


 投稿者:t  投稿日:2001/01/26(金)00時14分47秒  ■  ★  

       やあ、マイフレンド。元気かい?

       言うまでもなく、僕は“まとも”だよ。

       朝起きて、歯を磨いて、シャワーを浴びて、黒い靴を履いて、ゴ
      ミを捨ててから、いつもと同じの愛想笑いを浮かべ、一日を“まと
      も”に演じた。

       “まとも”

       良い言葉だ。

      「僕はこっちで“まとも”にやっています」

      「僕の頭はとっても“まとも”です」

       ちゃんとしていて正しくて誤りがない様。状況に応じた妥当な行
      為。素晴らしいね。驚嘆に値する。

       そんなふうに一日を過ごすことが出来たから、僕はハッピー過ぎ
      て、死にたくなった。

       “死にたい”

       いけない。少なくとも“まとも”な人間の言う言葉じゃない。

       だけど“まとも”な人間はきわめて“まとも”だから、こんな時
      も、きっと“まとも”なことを言う。

       それはこんな感じ。

      「その時になれば、死ぬのは辛いことなのよ」

       なるほど、それはそうかもしれない。

       如何にも“まとも”だ。

       しかし、その理由が分からない僕は、やっぱり“まとも”じゃな
      いのだろう。どうやら最後まで“まとも”にやることは出来なかっ
      たみたいだ。

       結局、今日なんて日も最低で、最悪で、おまけにクソだった。


 投稿者:t  投稿日:2001/01/28(日)01時50分51秒  ■  ★  

       やあ、マイフレンド。一日はどんなだった?

       言うまでもなく、僕は最低さ。

       今日なんて日も相変わらずクソだった。だけどそれはいつものこ
      とだし、望む望まざるに関わらず、頼まなくても朝は勝手にやって
      来る。相変わらずもよしとしなくちゃね。大丈夫、君が心配しなく
      ても夜は平等に訪れる。一日は長いけど、僕たちが想像している以
      上に人生は短いんだ。安心しな、死期はすぐそこまで来てるから。

       朝起きて外を見ると雪だった。

       非常に困る。だって今日はお出かけの日。首都の交通機関に麻痺
      されたらかなわない。晴れたなら日比谷公園で散歩でもしようと思
      ってたのに・・・、人生と同じで順調にことが運ぶなんてことは一
      つもないね。幸か不幸か地下鉄は動き続け、人を運ぶ。

       地下鉄を降り、地上に出ると、通りを車が走っていた。

       何故、こんな雪の日に車が街を走るのか、僕には分からない。車
      を走らせないと誰かが死ぬとでも言うのだろうか?ましてや世界が
      凍り付くとでも?しかし全ては個人の問題だ。無論、雪の中を歩く
      僕が人のことを言えた義理じゃないが。

       人はそれぞれ、たくさんの事情を抱え込んで、勝手に生きている。

       帰りはタクシー。このクソみたいな天気にも関わらず出掛けてや
      ったのだから、車ぐらい出してくれても罰の一つも当たるまい。運
      ちゃんはお世辞にも“まとも”とは言えないような奴だったから、
      とても楽しかった。

       話の内容も最低、相手も最低、ついでに僕も最低。
       
       「ああ神様、世界はクソで溢れています」

       家に着いてドアを開ける。一人。だってナオンとは別居中。僕は
      寂しがり屋さん。一人でも平気かもしれない、一人になると思う。
      実際に一人でも平気。だけど、時々悲しみが訪れる。ドアを世界に
      向けて開け放ち即席の歌を口ずさんだ。

       「僕の不幸な家においでよ♪」

       「君を救ってあげることは出来ないけど♪」

       「ちょっと話をするぐらいなら出来るかもよ♪」

      だけど誰かがやってくるわけでもないし、何より異常に寒い。虚し
      くなったからドアを閉めて鍵をかけ、ウイスキーを舐め風呂に入っ
      た。

       風邪を引かないように部屋は暖かく。

       いつも部屋に閉じこもっているような人は、こんな時こそ窓ガラ
      スを叩き割ったほうが良い。閉じこもってばかりじゃ部屋の空気が
      重くなる一方だし、笑っちゃうぐらいの困難に身をさらすのは悪い
      ことじゃないから。もちろん、僕には全然関係のないことだけどね。

       じゃあまたね。

       不幸に足を捕られないよう、ブーツの踵を擦りつけながら僕は今
      日を歩いた。外は銀世界。この雪が白い紙吹雪となって君の街に届
      いたら、それは、とても素敵なことだと思う。


 投稿者:t  投稿日:2001/01/28(日)23時43分39秒  ■  ★  

       今日なんて日は小用で池袋に行った。別に大した用がある訳じゃ
      ない。ちょっとした買い物をしに行っただけだ。しかも買った物と
      言えばラヴサイケデリコの1st。ああ、ダウソさ。文句あるか?
      だけど、俺がポップソングを聴いたからってレノンが生き返るわけ
      でもないし、アクセルとイジーが方を並べて日本に来るわけでもな
      いし、地球が滅びるわけでもない。とどのつまり、君には関係ない
      ってこと。いちいち目くじら立てんなよ、くだらないぜ?

       帰り道、金がなかったから巣鴨の大戸屋で味噌とんかつ定食を食
      べた。もちろん一人、生憎今日はご都合主義的に電話のベルがなる
      ようなことはなかったからね。一人、大戸屋で定食。哀しくなって
      くる。これが大戸屋のせいなのか、それとも一人でいるせいなのか
      微妙なところだ。大戸屋的悲しみとでも言うべきか。

       いつも通りスタバでコーヒー豆も買った。ナオンバリスタが「お
      豆」の説明をしてくれるかと思いきや、今日はひょろひょろの気持
      ち悪い兄ちゃんバリスタ。鬱だ。まさにスターバックス的悲しみ。

       そして、家に帰って一人ラヴサイケデリコを聞いた。もちろんラ
      ヴサイケデリコ的悲しみが訪れた。憂鬱なスパイダー。

       何だかめんどくさくなってきたから、今日はここまで。

       じゃあまたね。


 投稿者:t  投稿日:2001/01/29(月)00時46分06秒  ■  ★  

       友達になって欲しいってなら考えてあげるけど

       時間は五分だけにして欲しいな

       それを過ぎたら

       僕を一人にしておいてね


 投稿者:t  投稿日:2001/01/30(火)06時05分02秒  ■  ★  

       昨日なんて日は帰宅時間が早かった。たまには早い時間に帰って
      くるのもいいね、マイフレンド。幸せが訪れて、街の乾いた空気が
      潤ってくるような錯覚さえ覚えちゃうよ。

       だけど毎日はやっぱりクソみたい。

       おまけにどぶの匂いまでしてきやがるぜ?

       早く帰ったからって別段やることもない。仕方ないからビールを
      開け、何をするともなく本を読みながら音楽を聴く。

       八時になって何となくTVをつけた。やっていたのはくだらない
      歌番組。最近人気の何とか娘のくだらない歌だ。

       そもそも俺はTVが好きじゃない。中でもバラエティだのドラマ
      だのと言ったのは最悪だ。何が面白いのか、さっぱり分からない。
      ホントはTVなんて捨ててしまえばいいのだけど、ビデオで映画を
      見るには必要だからね、困ったことだ。

       「ファックな音楽を聴くぐらいなら、
        星でも数えてたほうが、まだましってもんだぜ?」

      と思ったから窓を開けて空を仰いでみた。肉眼では、星はお情け程
      度にしか観測できなかった。参ったね。これが世界の在るべき姿っ
      て奴ですか?

       「神様、僕達の世界はとても正しい方向へと向かっています」

       寒いから窓を閉めTVを消す。思うに、TVの唯一の素晴らしい
      点は、好きなときに好きなだけスイッチをオフに出来るってところ。

       その後でクリームを聴いた。いい唄だ。まさに、クリーム的素晴
      らしき世界。とはいえ、クラプトンも二千一年の東洋の島国の音楽
      シーンを予想することは出来なかっただろうから、何とか娘が流行
      するのも当然と言えば当然だし、必然と言えば必然。

       「どうしてみんなクリームを聴かないの?」

       「時代が必要としていないのよ」

       「あるいは」

       「あなたが必要とされていないのかもね」

       そんなことを考えながらベッドに入った。睡眠は個人的な行為だ
      から好き。そして全ては俺の問題ではなく、他人の問題。

       クリームが流行したのは三十年以上も前のお話。


 投稿者:t  投稿日:2001/01/31(水)00時01分32秒  ■  ★  

       結局、ケツの穴さんからはメールが来ませんでした。とても残念
      です。ケツの穴さんも同様に思っていることでしょう。

       後悔は人生を毒します。

       ケツの穴さんが今までどのような人生を送ってきたのか存じ上げ
      ませんが、こんなしみったれたクソったれわーるどでぐらい後悔の
      ないようにしたほうが良かったのではないかと思います。

       殴るチャンスを逃がし、後には後悔が残りました。せいぜい、僕
      のことを頭の片隅に留めて、残りの人生を生きてください。

       好機はケツの穴さんを離れ、人生は毒されました。

       それはとても哀しいことだよね。

       と言うわけで

       どいつもこいつも人のことばっかり気にしちゃって嫌になるよね、
      マイフレンド。何が楽しいのか分からないけど、人に文句ばっかり
      で、うんざりだよ。

       馬鹿がいつでも人目を気にして文句ばっかり言ってるのは、自分
      を評価してもらいたくってウズウズしてるからなのかな?

       「俺なんてやつはこんなにもウソグラの大物だぜъ( ゚ー^)」

       「バソバソだーいъ( ゚ー^)」

       こんな感じ?

       僕みたいな顔文字弱小固定を虐めたところでどうなるモノでもな
      いと思うけど、何か気に入らないのだろうね。謎だ。

       いいかい、繰り返しになるけど、大事なことを言うよ。

       批評家が文句ばっかり言ってるのは、自分の人生をきちんと生き
      ていないからなんだ。ケツの穴さんも人のことばかり気にしてない
      で、自分の人生をちゃんと生きた方が良いんじゃないかと思うよ。

       出来ることなら、なるべく“まとも”に、ね。

       じゃあまたね。


 投稿者:t  投稿日:2001/01/31(水)00時06分10秒  ■  ★  

       賢い人には関係のないことなのだろうが、TVやインターネット
      ってのは馬鹿をますます馬鹿にする。「テメー、最高詰んねぇよ。
      死ぬか?」とアドバイスをしてくれた彼を見ていて、僕は思った。

       馬鹿の行き着く先は“想像力の欠如”だ。

       だって君は僕の何を知っているというのだい?まさかこんなちん
      けな板が僕の全てだと?目に見えるモノ、耳に聞こえるモノ、それ
      が全て?そんな人間は最悪だよ。

       世の中の良い子はTVのチャンネルを変えるようにネットサーフ
      ィンをするのかもしれないけど、そんなことする前に街に出た方が
      良い。こんなことに目くじら立ててるより、街に出て、ナオンに声
      をかけて、肌の裏まで濡れるような性交をしていたほうが、全然素
      敵だからね。

       「そもそも君はセックスをしたことがあるのかね?」

      と僕は彼に聞きたい。マジで。

       ♪馬鹿が何を言ったところで俺の心は遙か彼方

       ♪君の惨めな状況に俺を巻き込むなよ


 投稿者:t  投稿日:2001/01/31(水)00時11分58秒  ■  ★  

       冷静になって考えてたら、段々腹が立ってきた。

       僕がこれだけ相手したのに放置するってのはどうかと思う。

       まったく、ひどい話だ。


 投稿者:t  投稿日:2001/02/02(金)07時43分47秒  ■  ★  

       今、朝の七時なんですけどね、今までずっと一人で飲んでました
      よ。ええ、最悪ですね。もう二時間ばかりしたら小銭稼ぎに出掛け
      なくてはならないのに、自分でもどうかと思います。

       ナオンが居ないってのはなにげに退屈です。それも一因かもしれ
      ませんね。まぁ、ナオンなんざ腐るほど居るんで性交なんていつで
      も出来ますが、くだらない会話が消えちまうのも意外に寂しいモノ
      です。お話しましょうよ、もっと。

       僕の人生と君の人生について。

       昨日なんて日は十一時に帰宅して酒を飲みながら部屋を掃除して
      入浴して書き込んで家にある全てのギターの弦を張り替えてまた酒
      を飲んで寝付けないんで再度酒を飲んで今も酒を飲んでます。

       終わり。

       性交、性交してますか?

       童貞、童貞ですか?

       駄目ですよ。世の中ナオンとオトコしかいないんですから。現実
      と向き合わないと。二次元は所詮二次元です。セックスは知性なん
      ざクソでも食ってろって具合に気持ちいいですよ。

       ナオン、ナオンが居ます。

       一、ヲタはどもりました

       一、ヲタは視線をそらしました

       一、ヲタは逃げ出した

       ああ、俺は性格が悪い。文句あるか?

       今日なんて日は機嫌が悪いみたい。

       勘違いしたアホは蚯蚓のように町中を這いずり回るけど。

       人間なんて所詮猿なんですよ。

       全ては猿の夢の中。

       あんたのケツはお上品だな。


 投稿者:t  投稿日:2001/02/12(月)01時16分09秒  ■  ★  

       やあ、マイフレンド。元気かい?

       言うまでもないことだと思うけど、僕は死にそうだよ。想像して
      いたよりもずっと僕は病弱だったみたいだからね。まあ、そんなこ
      とはどうでもいいね。ケツにでも食わせておけばいいことだと思う
      よ。どうせいずれは自ら身を絶つんだし、全ては猿の夢の中、暇が
      潰れれば風邪もまた良しだ。

       それでは、先週を振り返ってみるよ。

       水曜日まで働きっぱなし。その後ダウンして寝た。

       終わり。

       なんてくだらないんだろう。自分でも驚いちゃうぐらいに退屈な
      一週間だ。これはちょっとした事件と言っても過言ではないね。だ
      けど大丈夫。僕が退屈と躍っている間に、マイフレンド、君の人生
      が良い方向へと進んだならば全てはオーケーだ。信じられないかも
      しれないけど、僕はみんなが幸せになればいいと思っているからね。

       どうでもいいよ。

       どうでもいい?

       まさにそいつが人生さ。

       くだらぬ物を掻き集め、立派な文句で飾ってみても、籠は陽気に
      なりはしないってね。馬鹿が猫の額ほどのアカデミックな世界観を
      披露しようとチャンスをうかがってるけど、経験が欠如した人の話
      なんて、ただの意表をついた風変わりな小細工でしかないんだよ。

       おやおや、口が上下してるね。

       ほら、十円玉だ。

       これで誰かに電話してきなよ。

       君を気にしてくれる、僕じゃない他の誰かにね。


 投稿者:t  投稿日:2001/02/12(月)11時07分24秒  ■  ★  

       ぼくは努めて目立たないようにしました

       ぼくは進んで馬鹿になろうとしました

       だけど駄目でした

       誰も好意を持ってくれません

       ぼくがあまりにも人と違いすぎているから

      -----

       思い上がりは大嫌い。

       素直に劣等感を抱きしめようよ。

       優越感、虚栄心、大好き、愛してる、kiss


 投稿者:t  投稿日:2001/02/17(土)02時23分29秒  ■  ★  

       全てを言い尽くしているようで、何一つ言っていない

       ひどく曖昧なだけ

       高遠な思想

       笑い者になるのが怖いんだってさ


 投稿者:t  投稿日:2001/02/19(月)05時18分15秒  ■  ★  

       今週は異常に忙しく、疲れ果てました。おまけにプライベートで
      トラブルも多発し、死にたい気分でした。死にたい、あまりにも死
      にたい。バスタブで剃刀を手に当ててみました。奮えました。人間
      は面白い構造をしています。手首を切ろうかとも思いましたが、そ
      うすると本当に死んでしまいます。まだ死ぬ気はありません。違う
      ところを切ってみました。二の腕に軽く剃刀を走らせてみました。
      血が出ました。あまり痛くはありませんでした。血がたくさん出て
      きました。ひりひりします。怖くなったのでタオルを巻いて止血し
      ました。死に臨む直前、素っ裸でバスタブに一人剃刀を片手に物思
      いに耽っている、そんな構図を想像したら可笑しくなってきたので、
      笑いました。一週間は過ぎていきました。


 投稿者:t  投稿日:2001/02/19(月)05時20分33秒  ■  ★  

       娼婦が自分を売るように

       パンを買うお金を稼ぎました

       僕は世の中から忘れ去られた人


 投稿者:t  投稿日:2001/02/26(月)04時05分10秒  ■  ★  

       くそったれのマザーファッカー、元気ですか?

       僕はとても疲れているよ。死にそうだ。どれぐらい疲れているか
      というと、公園の木陰のベンチに腰掛けている八十四歳の老人ぐら
      い疲れている。すなわち、とっても眠いってこと。人は一日の疲れ
      を癒すために眠るけど、僕は眠るために疲れているんじゃないかっ
      て気さえもするよ。くだらないその日暮らしでも、パンを買うには
      気苦労がつきまとうね。最悪だよ。一人引き籠もって金がワンサと
      入ってくるなんてことはないのかね。まったく嫌になる。

       まあ、そんなことはどうでもいい。君にはもちろん関係ないこと
      だし、そもそも、僕に関係あるのかさえも疑わしい。折角だから嫌
      な話には蓋をして、心が躍るような話をしよう、マイフレンド。

       今日なんて日は休みだった。

       買い物に行った。何を買うか決めずに、街を歩いた。僕が求める
      のは、少しだけ非日常的でその場限りの、それでいてすぐ手に入れ
      ることの出来る物。素敵だろ?何が素敵なのかは分からないけど、
      どいつもこいつもそれで満足して生きているんだから、僕もそれで
      良しとする。とどのつまり、素敵ってこと。

       ラバーソールが売ってた。

       僕はおしゃれさんじゃないから、詳しいことはよく分からない。
      ただ、とても時代錯誤的な代物だった。今はこういうのが流行って
      いるのかな?
      「かつてストリートを騒がしていたロックバンドのジョンさんが履
      いていたラバーソールです」
      とでも言いたげな姿形の靴だった。色は赤。おまけに鋲があしらっ
      てある。パンクっぽい気がしなくもない。異常に高い。下手なブラ
      ンドショップの靴より高い。欲しかったけどサイズが合わず断念。

       黄色いサングラスを買いました。

       こいつはパーフェクトだった。
      「二回死んで三回生まれ変わって『今日が世界の最後の日なの』と
      言われた瞬間にやっと出会うことの出来た黄色いサングラスです」
      と言っても問題ないくらい。本当を言うと「正しい黄色」ではない
      のだけれど、便宜上「黄色」と呼ぶ。無論、黄色が赤だったところ
      で地球は回るし、君には関係ないけどね。

       黄色いサングラスを買いました

       黄色いサングラスをかけると

       あっという間に世界は黄色

       まるで世界中が狂い始めたみたい

       「でも世界は初めから狂ってるんだよ」

       僕は気が狂っている

       黄色いサングラスがお似合いだ

      例によって即席の詩とメロディーをハミング、街を歩く。黄色いサ
      ングラスをかけると、眩しい光はセピア色に変わるし、鳥のさえず
      りも聞こえてくる。完璧。

       帰りの電車の中。

       変なのに遭遇した。一人大声で叫びながら電車のドアをガンガン
      蹴っている、見るからに馬鹿そうな二十代後半の男。
      「うーん、これは著しく知性が欠如していますね」
      馬鹿のコンクールがあったならば、間違いなく上位に絡んでくるだ
      ろう。「うるさいですよ」と言おうかとも思ったけど、僕の顔をガ
      ンガン蹴っているわけでもないし、因縁を付けてきてる訳でもない
      から放置。オブセッションのような物でもあるのか?同情するよ。

       結局のところ、クソみたいな一日。

       全てがそこにあるような幻想を抱くけど、君も承知の通り、全て
      どころか何もない。毎日なんてそんな物だ。クソで溢れてる。

       馬鹿が満足してるのは、世界が完結してるから。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/04(日)03時12分58秒  ■  ★  

       今日の帰りの電車、僕の隣に座ったカップルの会話。

       オトコ「二月って何日までだっけ?」
       オンナ「二十八」
       オトコ「ふ〜ん」
       オンナ「ってゆーかさ、二月って普通二十八じゃん」
       オトコ「どうしてよ?違う時なくない?」
       オンナ「何だっけ?それ、何とか年ってやつ」
       オトコ「その年は何日まであんのよ?」
       オンナ「三十日」
       オトコ「マジ?それっていつから決まってるよ?」
       オンナ「確か去年から」
       オトコ「マジ?知らなかったよ」

       僕も知りませんでした。

       電車の乗車率は100%超、おまけにカップルはかなり大きな話
      し声。聞こえてるはずなのに、すごく可笑しいはずなのに、何故か
      誰も笑いません。互いによそよそしく、うわべだけは無関心を装っ
      て、人は電車に揺られています。宿命的に画一的です。
       
       僕はケタケタ笑いました。

       どんな顔をしてるのか見てやれと隣を見ると、カップルもケタケ
      タ笑う僕を怪訝そうな顔で見ていました。視線がぶつかりました。
      カップルは「何こいつ、思い出し笑いなんかしちゃって気持ち悪い。
      あぶない人かしら」的表情で僕を見つめ、僕は「これは典型的な白
      痴顔だな」的表情でカップルを見つめます。

       ぶつかる視線が微妙な緊張感を生み、「それ閏年ってやつですよ。
      “a leap year”ってやつです。それに二十九日までです」と突っ
      込む機を失ってしまいました。

       しかし、もし突っ込んでいたら、車内が非常に微妙な緊張感に包
      まれ、気まずい空気は漂い、人がリーマソが終点を待たずしてワッ
      シワッシと降車してしまったかもしれません。

       結果的に、僕は良いことをしました。

       終わり。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/06(火)02時04分36秒  ■  ★  

       駅を降りたら、スタバで“本日のコーシー”のトールサイズを買
      う。僕の日課。そこではたくさんのナオンが働いてて、中でも二人、
      毎日のように顔を合わせるナオンが居る。一人は素敵な綺麗目で、
      一人は救いようのないあばずれ。

       今日なんて日はスタバナオンに話しかけられた。

       しかし、口を開いたのはあばずれだった。

       とても哀しい。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/06(火)02時05分43秒  ■  ★  

       次の休みは、君が生まれた街の話をしよう。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/12(月)04時43分53秒  ■  ★  

       さっきコンビニに煙草を買いに行った。

       コンビニ、それはとてもシステマティックな場所。あまりにもシ
      ステマティックにすぎるためロマンスも生まれない。しかしコンビ
      ニにロマンスを求める人などいないから、結果、誰もがおおむね満
      足している。そんな場所。

       レジでお姉さんが「袋にお入れしますか?」と言った。「結構で
      す」と僕が言うと、間髪入れず「恐れ入ります」。さすがコンビニ。
      ソフィスティケートされてる。

       「袋にお入れしますか?」
       「結構です」
       「恐れ入ります」

       とても詩的だ。もしかしたら何かを象徴しているのかもしれない。
      初級○○語講座の練習構文のような気がしなくもないが、それだけ
      実用に足るフレーズだと言うことだろう。

       そんな凡庸なことを考えた。

       「凡庸」

       ひどい言葉だ。だけど凡庸なんだから仕方ない。僕は凡庸な人間。
      どれぐらい凡庸かというと、額に大きく「凡庸」と刻印を押し、街
      行く人に「僕は凡庸な人間だから気の利いたことなんて何も出来ま
      せんよ」と知らしめたいぐらいに凡庸。そうすれば僕を見た人も
      「ああ、この人は凡庸なんだ。ならば話をしても無駄だな」ときっ
      と察してくれる。これはちょっといいアイデアだ。

       明日から「あやしいわーるど@凡庸」に改名します。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/13(火)05時09分31秒  ■  ★  

       今日なんて日の帰りの電車の中。

       馬鹿がいました。

       どれぐらい馬鹿かというと、「財布を忘れるなんて、サザエさん
      は本当に愉快ねえ」と思わせてくれるほどの馬鹿でした。馬鹿は帰
      宅ラッシュで込み合う車内にも関わらず「俺って一度キれると何す
      るか分からないよ」的表情で足を無造作に投げ出し、両腕を大きく
      広げ、四人分のスペースを二人で占有し、僕の前に座っていました。
      いや、正確に言うと馬鹿の前には誰も居なかったのですが、面白そ
      うだったから僕が進んでその場所に行ったのです。

       馬鹿は僕を見ます。

       「おまえ何で俺達の前に来るよ?俺達って一度キれたら何するか
      分からないよ?アッパーだからね」的表情で僕を見ます。自意識過
      剰かつ寂しがり屋さんの僕は、人から見られるとついつい気にして
      しまいます。コンビニでたむろする半チク兄ちゃん達の時も同様で
      す。

       気になったので足を蹴ってみました。

       蹴ると言ってもバソバソ蹴り飛ばすわけではなく、窮屈な車内で
      隣の人の大股開きがウザイ時に、牽制するようにコツコツやる感じ
      です。言葉を換えれば陰険なアレです。本来ならば、キューブリッ
      クの映画の如く「雨に唄えば」でもハミングしながら「さあホラー
      ショーの始まりだよ」とバソバソ暴行を加えたかったのですが、人
      の多いところでそんなことをするのはいささか躊躇われます。

       馬鹿は足を引っ込めました。

       あまりかっこよくありません。僕への視線も明後日の方向です。
      「俺って一度キれたら何するか分からないよ?アッパーだからね」
      的表情は一体何だったのでしょう?僕は好青年なので相手を恐れさ
      せる容貌は持ち合わせていません。譲歩する要因は何一つ無いはず
      なのに、ちょっと拍子抜けです。

       僕は馬鹿と馬鹿の間に座ることにしました。

       四人分のスペースを二人で占有するなんて、どう考えても理不尽
      な話ですし、非経済的です。僕は運賃を払って鉄道会社と契約を交
      わしているわけですから、当然座る権利を有しています。二人の間
      に割り込むように腰を落とすと、馬鹿はおとなしく席を詰めました。
      だったら初めから席を詰めていればいいのに、よくわかりません。

       馬鹿は某ターミナル駅で下車しました。

       何も言わず下車していきました。下車する際に一言あるかとも思
      いましたが完黙でした。半チクなことに、ドアが閉じた後でガラス
      越しに何か言ったようですが、くだらないファッキンアップヒルで
      す。文句があるなら面と向かって怒鳴りつけてから、バソバソ殴る
      べきです。人の目を見て文句も言えない馬鹿を見ると殺したくなり
      ます。

       馬鹿ばっかりだと思いました。

       しかし、それは当たり前のことなので驚きには値しません。世の
      中の99%は馬鹿で構成されている(残りの1%はキチガイ)と言っ
      ても過言ではないので、比率的に言って馬鹿と遭遇する確率が高い
      のは言うまでもないことです。

       驚嘆に値するのはオープンな馬鹿です。

       これは救いがありません。人は自分が馬鹿であることを必死に隠
      そうとしているのに、「俺って一度キれたら何するか分からない
      よ?アッパーだからね」的生き様を衆人環視の中でさらけ出すとい
      うのは、「俺って馬鹿なんだ、知性が欠如しているからね」と自分
      が馬鹿であることをアッピールするに似ています。こんな時は、や
      っぱり、「うん、まさに君は馬鹿だ。度し難い」と教えてあげるこ
      とが大事なんだと思います。

       兎に角、馬鹿は去りました。

       入れ替わりに普通のおっさんが乗車し、僕の隣に座りました。く
      たびれた、ただのおっさんです。「私は人生に疲れたよ、ダウナー
      だからね」的団塊的悲壮感漂う表情を浮かべています。枯れていま
      す。しかし、トラブルの匂いは感じさせないので、僕は安心して鞄
      から本を取りだし読書に勤しみました。

       「くだらない」。

       登場人物が言いました。「まったくだ」と相槌を打ちました。世
      界はクソで溢れていると思いました。

       馬鹿の免許を持っている人間が多すぎる。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/13(火)05時13分24秒  ■  ★  

       先週は冴えなかった。熱を出して寝込んでいたこともあって特筆
      するようなことはほとんど無かった。黄色いサングラスの出番も無
      かったし、かっこいい靴の出番も無かった。必要だったのは解熱剤
      と、ちょっとしたがまん。

       がまん。

       世界の向こうに蹴り飛ばしたい代物だ。

       だけど、彼女の微笑みが子供の頃を思い出させるようなら、がま
      んする価値はあるのかもしれないよ。冬の雨を愛することは難しい
      から、暖かい湯船の中で身体を伸ばすように、絡まった紐をひとつ
      ひとつ解いていくように、ゆっくりやることが大事だ。階段に腰を
      落として通りを眺めるような感じで、ゆっくり。そして、必要なの
      は、ちょっとしたがまん。

       そんな訳でマイフレンド、調子はどうだい?

       例えうまくいかないことがあっても焦らなくていい。

       どんなに頑張っても時間に拍車はかけられないから。

       大丈夫、きっとうまくいくさ。

      -----

       何故こんなことを言うのかって?

       うん、良い質問だ。それは俺ががまんしなくちゃならない状況下
      にあるからだよ。世界はクソで溢れてやがるってこと。

       所詮、全ては猿の夢の中だがな。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/15(木)07時06分04秒  ■  ★  

       謝りたいことがあるから

       灯りを失う前に


 投稿者:t  投稿日:2001/03/15(木)08時15分39秒  ■  ★  

       今日は誕生日。

       朝になったらナオンが100マイルのスピードで家に来る。そう
      いうのは素敵なことだね。言うまでもなく、朝は頼まなくてもやっ
      て来るから、何一つ心配することはないしね。

       きっと僕はある意味では幸せなんだろう。幾分ペシミスティック
      ではあるけれど、それなりに上手くやれてる。はにかんだ笑顔も出
      来るし、月影のステップも踏める。自分を知ってるから、あてがわ
      れた場所で分相応にやってる。

       だけど、歳を重ねるごとに、過ちと、罪と罰は無条件に増えてゆ
      くね。そして、それらを引き受けるのがいささかしんどくなってき
      た。僕はナイーヴだから、若さで乗り切れるのもそろそろ限界かも
      しれない。他人に説得を強いながら、自分の中で失われていく物に
      は目をつぶる、そういうのはタフじゃないと出来ないことだ。

       オーケー。しみったれた話はよそう。
       
       今日、僕は誕生日で二十四になった。たいしてめでたい話でもな
      いけど、爆弾の中の世界で二十四年間も生きることが出来たっての
      は、それだけでちょっとしたニュースだ。祝ってもいいだろう。

       僕は祝福するよ。

       僕と、そして、世界の果てを見てる、君の為に。

       冬の星座のように、君に届けばいいね。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/15(木)08時17分38秒  ■  ★  

       とはいえ、世界はクソだらけ。

       二十四年間も生きてきたのに、何一つ分かったことなんてありや
      しねえ。ああ、たった一つ、よく理解できたこともある。それは
      「人生は一方通行」ってこと。「後悔は人生を毒す」ってやつだ。
      まあ、これに関して俺はちょっとした権威だから、今さら言うまで
      もないな。

       嘘には未だに驚かされるし、友は来ては去っていく。

       俺には分からないことばかりだよ。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/17(土)03時56分26秒  ■  ★  

       「誰かと比べないで」

       「記憶と比べないで」

       生身で世界の向こうへ行った。


 投稿者:t  投稿日:2001/09/08(土)10時10分49秒  ■  ★  

       「サーカスがやってくる」

       「けど、気狂いピエロは心配ね」

       「道化は何をしても道化」

       「大丈夫、馬鹿でも愛せるさ」


 投稿者:t  投稿日:2001/10/10(水)05時02分06秒  ■  ★  

       この国では、

       重そうに足を引きずり、

       苦しいふりをするだけで、

       きっと誰かが助けてくれます。

       明日は冷たい風が吹く。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/25(日)05時21分13秒  ■  ★  

       今日なんて日はビートルズを弾きました。最悪ですか?ええ、最
      悪ですよ、もちろん。自分でも分かってます。だって僕は凡庸です
      からね。凡庸、そして退屈、おまけに憂鬱。ビートルズは凡庸じゃ
      ないけどビートルズを弾く人間は凡庸、つまり死ねってことですね。
      安心してください。わざわざ「テメエ、最高詰まんねえよ、死ぬ
      か?」なんて言いに来なくても結構です。死にますよ。

       何をやったかというとゲット・バックをやりました。やりたくて
      やったわけではなく必要に迫られてのことなんですが、それでもや
      っぱり凡庸ですね。任せてください。凡庸さ加減には自信がありま
      すから。人を退屈にさせることに関してはちょっとした権威です。
      しかし、僕の凡庸さ加減に反比例して、ゲット・バックってのはち
      ょっと良いです。

       ゲット・バック。

       ルーフトップのライブでお馴染みの曲。キー進行はAメジャ−の
      ダイアトニックといたってシンプル。その曲調とプラスして歌詞の
      意味を考えると、

      『昔は良かったよね(all)』
      『だけど魔法はもう解けてしまったんだよ(レノン』
      『まあね。アリゾナ州ツーソンを出てカリフォルニアに向かうのは
      いささかしんどいしね。そっちはどうだいジョージ?(ポール』
      『ああ、まったくファックだよ。楽器もナオンもクラプトンに勝て
      ないからね。正味な話、俺はあいつが嫌いなんだ。リンゴは最近ど
      うだい?(ジョージ』
      『まだ君達はましだよ。僕なんかずっと前からバンドを止めたいと
      思ってる(;´Д`)』
      『あの頃に帰りたいよね〜(all』

      的でとても懐古的な曲。まあ、僕は凡庸かつネガティブな人間です
      からベクトルが過去に向いてるのは大好きですよ。あと、この曲は
      ハイハットを使わずにスネアだけで刻み、それが全体的にタイトな
      雰囲気を演出してます。偉そうなことを言ってますがビートルズを
      聞き込むことが少ない僕は、今日なんて日に太鼓がズンドコズンド
      コやりだすまでそんなこと気付きもしませんでした。凡庸ですか?
      もちろんですよ。耳の奥まで凡庸です。

       とまあ、そんな感じで凡庸は凡庸ななりに楽しい一日を過ごした
      んですけど、夕暮れに、仕事場の大して仲も良くない人間にそのこ
      とを話したのがまずかったですね。

       そいつは僕より2つか3つ年上で、第三次世界大戦のシナリオラ
      イターは目指してないけど21世紀の音楽シーンを席巻することは
      目指してるといった類の人間で、言葉を変えればただの馬鹿です。
      インディーズシーンに関してやたらに五月蠅く、何でもかんでもミ
      クスチャーする傾向があるオトコです。

       彼が言いました。「かつてストリートを騒がせたロックンロール
      バンドも今となればただのしみったれたジョーク。テメエ、最高詰
      まんねえよ、死ぬか?」的なことを僕に言いました。おおむねその
      通りです。ですが、今日の世界に合った音しか出さない人間にそん
      なことを言う権利があるのでしょうか?僕には分かりません。

       ゲット・バック。

       最近思います。僕もそろそろ元居た場所へ(元々居るべきはずだ
      った場所へ)帰らなくてはならないのではないかと、少し思います。
      だけど、時間をかけてよく見れば僕は自分でいるのが好きだし、今
      居る場所も好きなので、駅でいつもと変わらぬ電車を待ちながら、
      阿呆みたいに笑い続けることになりそうです。

       所詮は猿の夢の中。

       僕たちはいつだって笑うことしかできません。楽しいときも哀し
      いときも、笑うことしか出来ない。悲劇を喜劇するのが得意なわ
      りには、みなさんとてもお上品ですね。何よりですよ。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/26(月)08時20分31秒  ■  ★  

       週末はとにかくヘビーだった。だから疲れ切って寝てたってわけ。
      だけどそれも長くは続かない。ジョジョが自分を孤独を愛する男だ
      と思いながらも、それが長くは続かないだろうってことに気付いて
      いたようにね。

       十五時の電車に乗る予定だったから十四時までは寝ているつもり。
      なのにどこかの馬鹿が正午にインターホンを連打。家のマンション
      のオートロックが機能しているところを一度ぐらい見てみたい、そ
      んなことを考えながら布団を頭から被る。十分もすれば嵐は過ぎ去
      るだろうって寸法だ。しかし、十分を過ぎてもインターホンは機械
      的に鳴り続けた。

       寝てるところを叩き起こされるのが好きな奴はいない。好きって
      いう奴は、ちょっと頭のネジが締まりすぎてるか、それとも緩みす
      ぎてるか、あるいはその両方か。僕はもちろん大嫌い。理不尽に叩
      き起こされるのはなおさらだ。

       もしかしたら遠方から不幸が手紙となってやって来たのかも、ど
      っかの誰かが贈り物を届けてくれたのかも、あり得ないことを考え、
      仕方なくドアへ向かう。普段ならインターホンを手にするところだ
      けど、それをしないでドアへ直行したってのは、僕の知性の欠如に
      よるところではなく寝起きで頭が回らなかったせいだし、問題の本
      質を自分の目で確かめたかったからだと思うよ。

       ドアを開ける。

       立っていたのは枯れたおっさん。薄汚いプルゾンに茶色の四角い
      度付きサングラス。小脇にはお決まりのセカンドバッグ。顔はとい
      えば知性の欠如も甚だしい。軽薄な薄ら笑いを浮かべ、彼は言う。

       「お休みのところすみません。朝日新聞ですけど」
       「今どこか新聞取られてますかね?」

       見ず知らずの人間の利点。

       後腐れがないから自由に喧嘩できるってこと。

       「はぁ?何言ってるの?」

       後のことはよく覚えていない。売り言葉に買い言葉でおっさんも
      四の五のぬかしやがったからお互いを攻撃というか口撃。十分以上
      口論は続いた。とはいえ、こんなことを続けていてもなんの意味も
      ない。ジョジョの孤独を愛する気持ちと同様、長くは続かない。

       「こんなとこ、二度と来るか」

       「誰かおまえを呼んだか?」

       こんな具合でさよなら。別れ際、あまりにも頭に血が上っていた
      ので玄関に置いてある買い置きのエビスビイルの箱から缶を一本取
      り出し、投げつけてやった。よけるおっさん。壁にぶつかる缶。缶
      は地上に落下し、破裂して、噴水の如く中身を吹き出した。自分で
      も想像していなかったことなので吃驚。おっさんも吃驚。ビイル缶
      って破裂するととんでもないですよ。気を付けましょう。

       その後、陰険な僕はもちろん近所の販売店に電話。

       「おたく、ちょっと拡張員に問題ありません?」
       「『死ね』とか言われましたよ」
       「僕もこんなこと言いたくないんですけどね」
       「いくら何でも勝手に押し掛けて『死ね』は無いですよね?」

       数分後、朝日の人が来訪。自分とは管轄が違う、部署が違うと、
      うだうだ言い訳がましい馬鹿。「この度はご迷惑をお掛けしまし
      て・・・」とかなんとか。差し出されたものはというと、社名入り
      タオルと都指定のゴミ袋。おいおい、ガキの使いか?とはいえ、木
      っ端に何を言ったところで仕方がない。家には二度と人を寄越すな
      と念を押し、さよなら。優しい、僕。

       僕が疲れていようが、君の目が二度と開かなかろうが、乾電池方
      式に地球は回る。朝昼夜、たまには雨も降る。今日なんて日は朝じ
      ゃなく昼がやって来て、そして、たまの雨が降った。それだけ。

       くだらない。


 投稿者:t  投稿日:2001/03/28(水)01時30分23秒  ■  ★  

       朝、太陽は輝き、木々に群れたスズメたちはさえずっていた。穏
      やかな陽気。世界が喜びで溢れているような、虹の袂にいるような、
      そんな感じ。街灯から雪解け水が落ちる音さえも聞こえそう。つま
      り、春がいっぺんに近づいたってこと。

       もちろん、クソで溢れてる。だけど暖かい陽気に誘われると、軽
      快な装いをしたくなるから不思議だね。そんな訳で、今日なんて日
      はかっこいい軽めの服を着てから、去年の夏に買ったマリブを履い
      て出掛けた。

       しかし、街はまだ冬の面影。桜が咲き始めたといっても、夏の海
      を思わせるその靴の色はいささかミスマッチ。電車の中、思いっき
      り浮いてる僕の靴。同じ車両に乗り合わせた人全員が僕の足下をち
      らちら横目でうかがっているんじゃないかって被害妄想。そんな時
      はどうするか?うつむき加減に本でも読むしかない。だって、とて
      も恥ずかしいからね。死ぬよ。

       とはいえ、ホントに暖かくなった。マイフレンド、インナーを見
      せて着る季節だよ。雪のように鮮烈な白いマフラーを解かなくちゃ
      世界は微笑んでくれない。

       八点鐘が新たに鳴り響く中、マフラーをベッドの上に投げつけて
      かっこいい服を着る。そして、鏡を叩き割ってから外に出る。

       価値のあるスタートのやり方ってやつだ。

       ただ、自分の立場をはっきりさせることの出来ない人間には、鏡
      を叩き割るなんて芸当は一生かかっても無理な話だろうがな。



     @キ印 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その8
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     その17 その18 真はか集 タマクサ なべしま テレッホー


あやしいわーるど@キ印 からの転載をまとめたものです。


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