だせえ君日記(その5)


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:03月22日(金)23時00分04秒  ■  ★ 

      3月22日(曇りのち雨)

      今回はまじめな話なのでつまらないかも

      組合のある会社ではどこも春闘が終わった頃だと思う。うちの会社も少し前に
      会社側提案を組合側が受け入れて、今年の昇給額や臨時給(ボーナス)の支給額が
      決定した。

      去年の下半期、業績がガタ落ちだった会社だが今年に入って持ち直し結局今年度は
      辛くも黒字決算になった。今まで多額の賃金カット&残業規制で月10万近い減収
      だったので今回の春闘でどれくらい戻すのか注目していた。

      俺は以前組合の執行役員をやっていたので春闘の大詰めの交渉もやった事がある。
      東大出の元○○省キャリアの役員と真剣なやりとりをするのだから、それは凄い
      プレッシャーだった。はじめて委員長から交渉委員長を任された時は血ヘドを吐く
      くらいの重圧の中で闘ったものだ。当時まだ20代半ばだった俺が交渉委員長を
      やる事自体異例中の異例だった。

      実はそれまで1つだった会社の組合が、組合内の揉め事などで分裂し結局3つの
      組合に別れてしまったのだ。俺が所属する組合は1番大きな組合で上部団体である
      連合系の○○労連に所属する正統派&強硬派の組合である。
      当時、分裂のゴタゴタの中で交渉役をやるに相応しい人材が見つからず思い切って
      弁の立つ若い組合員を交渉役にして引っかき回してやろうという委員長の考えで
      俺が交渉役に選ばれたのだと思う。

      日本の労働組合は欧米と違い企業内組合であり、あくまでも会社あってこその
      組合という意識がある。組合が強硬な態度をとり過ぎて会社を潰してしまっては
      元も子もないからだ。
      当然、交渉も相手(会社)の懐具合を考えての交渉となるわけで、ある程度
      手加減をしないといけない。これを誤解して「うちの組合は御用組合だ」などと
      安易に批判する奴が多いがそれは間違いだ。実際の交渉の席では武器が無いだけで、
      本当の戦争に近い真剣な闘いが繰り広げられているのだという事を是非知って
      おいて欲しいと思う。

      俺は交渉委員長を任されるときに書記長から交渉のコツについて色々と聞かされた。
      会社側の考える落としどころ(妥協点の目安)を探る為にはこうやるんだという
      内容だった。しかしそのレクチャーはほとんど役には立たなかった。
      真剣勝負には付け焼き刃など何の役にも立たないのだ。

      そして俺にとって始めての団体交渉が始まった。第1次、第2次では会社側も
      組合側も腹の探り合いという感じで一種の儀式のような雰囲気だ。ここでは主に
      書記長と勤労担当役員との話ばかりであった。そしてストライキ突入期限1日前の
      第3次交渉、いよいよ本番だ。
      「今日からはおまえが交渉するんだ。相手はH沢専務だ、手強いぞ」書記長が言った。
      今までの交渉は穏やか且つ紳士的に行われて来たので、当然そういう流れで
      交渉が続くと思っていたが大間違いだった。

      俺が口を開いた『組合からの最終的な要望は以下の通りです。
      ベースアップ○○○○円、臨時給○.○ヶ月、初任給引き上げ額○○○円
      この要求が受け入れられない場合は明後日より時限ストを決行します』
      H川専務が血相を変えて怒鳴った
      「S川!おまえは会社を潰す気か?おまえのせいで会社が潰れるんだぞ?
      全員路頭に迷うんだぞ?正気でそんな要求を出してるのか!」
      俺は膝が震えた。当時の俺のような末端の社員からすると役員というのは
      いつもニコニコ笑いながら「ご苦労様」と声をかけてくれる雲の上の人だ。
      そういう人に、名指しで血相を変えて怒鳴られたのだ。腐っても元キャリアであり、
      それなりに凄い能力を持っている人に違いない。
      そういう人に怒鳴られる怖さというのは味わったことのない異質の怖さだった。

      つづく


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:03月23日(土)19時00分11秒  ■  ★ 

      3月23日

      春闘話の第2回

      H沢専務の怒号をフォローするように勤労担当のS野取締役が口を開いた
      「まあ組合が最終的に出してきた数字なのですから一応検討しましょう」
      そういって30分の休憩を取ることになった。組合の控え室へ戻る途中
      交渉委員の一人であるN田という地区長が「S川何で黙ってた?言われたら
      倍にして言い返せよ、おまえ交渉委員長なんだぞ?」
      そして俺を説得して交渉委員長に祭りあげた書記長までが「あれじゃあ
      交渉にならん!H沢のペースになっちまうぞ」と怒っている。
      勘弁して欲しい、この間のレクチャーでは、そんな事は教わっていない。

      控え室の前には組合の役員たちが赤い腕章を巻いて待っていた。交渉の内容は
      大体聞いているようで、俺に不満の声がぶつけられた。「S川しっかりしろ!
      びびってるんじゃねえよ」「だから俺はS川にやらせるのを反対したんだよ!」
      「S川、今からでも遅くないから書記長と交代しろ」
      普段はニコニコ笑いながら挨拶をしてくれる先輩や、同期なのに敬語を使って
      話し掛けてくれていた同僚まで、皆目つきが変わって別人のようだった。
      そういう人たちに罵声を浴びせられて俺は悲しみと怒りで気がおかしくなりそう
      だった。「おまえは口が達者だし度胸もあるから」「おまえは頭の回転が良いから
      交渉に向いてるよ」そうやって、おだてられて交渉委員長になったが、
      この時ほど安受けあいはするもんじゃないと思い知ったことはなかった。

      部屋に入り交渉委員の5人と委員長が席に座った。いつも俺に目をかけてくれ
      「Yちゃん」と気安く呼んでくれていた委員長が、俺を一喝した「S川!おまえ
      やる気あるんだろうな?交渉委員長っていうのが、どれだけの重責かわかってるのか?」
      委員長の目つきもいつもとは明らかに違う。書記長も副委員長も地区長たちも同様だった。
      俺は以前から「組合活動は政治活動であり宗教活動」だと思っていた。組合活動に
      ハマる人間は組合活動という宗教にどっぷりとハマってしまうのだ。まさに
      この時の状況はカルト宗教の幹部会議という感じだった。

      その時の俺もそうだったのだと思う、完璧に雰囲気に飲み込まれ、かなり
      追い込まれた状況になっていた。最終的に委員長は「S川を推したのは俺だ、
      俺が責任を持つから今後の交渉はS川と書記長の2人にまかせようじゃないか」と言った。
      どうして話がそうなるのか今だったら疑問に思うが、その時俺は、こう言ったのだった
      「私一人で結構です。書記役の方一人だけ同席してください」

      俺は交渉継続の為、書記役として先程俺に文句を言ってきた地区長のN田を連れて
      会議室へ向かった。俺が交渉にあたっての最高責任者だ。たとえ先輩のN田であっても
      余計な口を挟んだら怒鳴りつけてやるつもりだった。委員長の一喝と追い込みで
      俺は30分前とは別人に変わっていた。

      つづく


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:03月25日(月)12時28分31秒  ■  ★ 

      3月25日(晴れ)

      春闘話の第3回

      休憩前の団体交渉では、俺が何か言うたびにH沢専務に怒鳴られてしまい
      こちらの要求が一蹴されたような形になっている。このまま終わってしまっては
      大変な事になってしまう。
      会場に向かう俺には一発逆転の秘策があったわけでもなく勝算は無かった。
      ただ漠然と『何とかしてやろう』という強い気持ちだけがあったのだ。

      今度は組合の要求に関しての数字が会社から出てきて、組合からその数字に関する
      根拠を問い質す形になるはずだった。こういう大きな交渉の場合は最初から大体の
      妥協点は予想されているのだが、交渉の内容によって予想より大きくずれたり、
      数字は予想通りでも変な付帯条件(合理化を飲まされる等)がつけられたりする事が
      あるので交渉委員の責任は重大なのだ。

      交渉委員が5人から2人に減ったのを見て経営側はビックリしたようだった。
      書記長を含む残りの3人は傍聴席に座っている。会社側からの回答は、ベースアップ
      額で組合要求より3000円少なく臨時給の支給月数は組合提案を飲んだ形になっていた。
      組合が予想している妥結額より2000円も少ない提示である。このままトップ交渉
      (社長と委員長の最終交渉)へ持ち込んだりしたら到底目標額には達しないだろう。

      俺は静かにこう言った「会社からの回答には全く誠意が無く、不満を感じるどころか
      怒りを感じます。現時点で我々の要求とこれだけ隔たりがある以上、交渉を打ち切って
      明後日よりストライキを決行しかありませんね」そういって立ち上がった。
      隣に座っていたN田がびっくりして俺の方を見た。H沢専務が顔を真っ赤にして怒鳴った
      「S川いいかげんにしろ!どうしてこんなキチガイに交渉をやらせるんだ!
      会社を潰す気か?馬鹿が!」

      前の休憩時間、組合控え室で軽い洗脳状態にされていた俺は全く動じなかった
      『H沢さんアナタさっきから怒鳴ってばかりですが、ここは会社と組合の交渉の場ですよ?
      喧嘩してるわけじゃないんだ。会社は経営の事を考え、我々は生活の事を考えて真剣に
      交渉する場なんですよ?今の暴言は撤回して頂き、きちんとした言葉使いで言い直して下さい』
      「何だと?」『先程の発言を丁寧な言葉で言い直せと言ったんです』「ふざけるな」
      『それでは議事録にH川専務の【キチガイ】と【馬鹿が】という発言を載せることになります、
      よろしいですね?』

      勤労担当のS野取締役が大声で口を挟んだ「S川さん申し訳ない、今のH沢専務の
      発言は会社として取り消します」『アナタが取り消してどうします?肝心の言った本人が
      取り消していない』完全に交渉はこちらのペースになった。
      H沢専務は明らかに動揺しているようで頬の肉がプルプル震えていた。『もう一度休憩を
      挟みましょう、会社からの誠意のある回答とH沢専務の謝罪が交渉再開の条件となります』
      そう言って俺の方から交渉を打ち切った。

      組合控え室では、先程とは打ってかわって皆が俺を暖かく迎えてくれた。しかし書記長は
      「まだまだ安心するのは早いぞ」と言って、これからの交渉方法についてアドバイスを始めた。
      それをしっかりと聞いてはいたのだが、俺の脳はデュアルCPUマシンの様に、これから
      予想される会社からの反撃を予想し、それについての対処方法を考えるというスレッドも
      猛スピードでこなしていた。

      つづく


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:03月27日(水)13時29分02秒  ■  ★ 

      3月26日(曇り時々雨)

      春闘話4回目

      昼食を取り終わって1時間しても経営側からは交渉再開の申し入れは無かった。
      俺は緊張の為、食事はほとんど喉を通らないのに他の交渉委員が食事を平らげ、
      煙草を吸いながら談笑しているのを見て、どうして俺だけがこんなに緊張して
      いなければならないのかと思った。

      午後3時頃ようやく内線電話が鳴り会議室へ向かった。
      交渉が始まるとH川専務が机の上に手を付き「先程は感情的になったとは言え
      不適切な発言があった事を組合の皆様にお詫びし同発言を撤回させて頂きたいと
      思います。誠に申し訳ありませんでした」そういって頭を下げた。
      俺は、そんなものはどうでもいいといった感じで「回答をお願いします」と言った。
      今まではH川専務が座ったまま会社側の回答を伝えていたのだが、
      今回はO内常務がメモ用紙を持って立ち上がった。
      いよいよ会社側も大詰めの段階に入った証拠である。

      会社側の回答は驚くべきものだった、ベースアップ額を先程よりも2000円も
      引き上げて来た代わりに臨時給と毎月の職能給に査定制度を導入したいと言って
      きたのだった。要するに評価の低い社員の賃金を低くしたいと言う事だ。
      この査定制度については以前から会社側から打診はあったのだが組合としては
      一切相手にしていなかったのだ。よりによって春闘の交渉の席に持ってくるとは・・・。
      賃上げの条件にこんなものを飲んでしまっては俺の立場どころか現組合執行部の
      立場まで危うくなるだろう。今回の春闘で会社は最初から、これをぶつけてくる
      つもりだったのだろう。

      書記長が隣にいてくれたら良かったのに、と思ったが今更どうする事も出来ない。
      ここで俺が「持ち帰って検討します」等と言ってしまったらある程度、会社側の
      条件は飲まないといけなくなってしまうのだ、何か反論しないといけない。
      後ろの傍聴席から書記長が声をかけた「S川、そんな条件を飲む必要はない。
      後は委員長に任せよう」するとS野取締役が「傍聴席からの発言は控えて下さい」と
      怒鳴った。

      『うちの会社に人を評価出来るような管理職がいるんですか?』俺の意志とは
      別のところで口が勝手に喋り出したように感じた。
      「立派な管理職が揃ってるじゃないか」S野取締役が反論した『会社に来て朝から
      新聞や雑誌を読んで定時になれば残業している部下に声もかけず、そそくさと
      帰宅するような人を立派な管理職というんですか?』「そんな人はいないはずだ」
      『たくさんいますよ、ここにも数名います、具体的な名前を挙げてもよろしいですか?』

      大人しくなっていたH沢専務が口を開いた「S川さん、今は組合員の評価の話を
      しているんだよ。管理職の評価の話をしているんじゃない」『人を評価する資格の無い
      人間に評価され労働者にとって一番大切な賃金を左右されるのは納得できないと言う事です。
      会社側回答の賃上げの部分については、まだまだ納得出来ない数字ではありますが、
      2千円の積み増しという事なので持ち帰って検討します。ただし査定制度導入に関しては
      本来賃金闘争である春闘で話し合われる問題ではないはずであり、これは会社側へ
      お返しする』

      俺がそう言うと、今度はS野取締役が「その数字は査定制度導入が条件だ、
      勝手な解釈をするな!」と怒鳴った。顔色が変わったS野の顔を見ていたら
      何故か俺の頭の中に先日読んだ日経新聞の記事が蘇って来た。
      『○○○という大手工作機械メーカーでの査定制度では上司が部下を査定するだけでなく
      部下も上司を査定するそうです。会社側が我々組合員を査定すると言うなら、
      組合があなた方を査定する事にします』

      俺は続けた『例えば、そこにいる経理部次長のO塚さん、あなたはクルマがお好きなようで
      仕事中に堂々と自動車関係の雑誌を読んでいるそうですね、組合の協議会で何度も名前が
      挙がってますよ』 こんな堅苦しい席で演説みたいな事をするのは滅多にない事だ、
      緊張と喉の渇きで舌が回らなくなりそうだったが軽く深呼吸をして続けた
      『それからS野取締役、あなたからセクハラを受けたという被害申告が数件出ています』
      このセクハラの件は被害を受けた女性の事を考えて穏便に処理しようと思っていたのだが、
      追い込まれていたこともあり、やむを得ず話に出してしまった。

      「いい加減な事を言うな!」S野取締役が反論すると、後ろの傍聴席からまたも
      書記長の声がした「いい加減かどうか、この場でハッキリさせましょうか?この場に
      被害者が書いた申告書を持ってきてもいいんですよ?」強力な助け船だった

      『会社がどうしても査定制度を導入するのであれば、無能な管理職や会社に寄生する
      天下り役員に対し組合内で投票を行った上で、降格や退職の勧告を行います、特に今
      名前が出た人は首を洗って待っていて欲しいですね』

      H沢専務が「組合にそんな権利はないんだよ、わかってるだろう」と言ったが
      『権利なんて関係ない。どう受け止めるかは本人や会社の自由です、しかしS野取締役等は
      ○○省OBであり、○○省は現在マスコミに叩かれています。○○省OBが天下り先企業で
      セクハラが原因で労働組合から退職勧告を受けたとなったら格好のネタになりかねないので
      注意した方がいいですね」

      団体交渉会場は何とも言えない雰囲気になっていた。調子に乗って喋っていた俺までが、
      ばつが悪くなり黙り込んでしまった。O内常務が力無い声で「一旦休憩を挟みますか?」と
      言ってきたので『それでは数字としては2000円の積み増しと言うことで、付帯条件(査定
      制度導入)については会社へお返しする。この条件で持ち帰って良いんですね?』と
      俺が言うと会社側の役員達は無言で席を立って出て行ってしまった。

      俺がびっくりして傍聴席を振り返ると、他の交渉委員達も呆気にとられた顔をしていた。
      しかしただ一人書記長だけは、俺の方を見て笑っていた。

      つづく


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:03月30日(土)02時11分40秒  ■  ★ 

      3月29日(雨)

      春闘話5回目

      組合側控え室に戻ったが、俺は事態が良く飲み込めなかった。俺は交渉を滅茶苦茶に
      してしまったのだろうか?委員長や書記長など三役は別室で協議をしているようだ。
      N田が近づいて来て「御苦労さん、疲れただろ?」と声をかけてくれた。俺の隣では
      組合の役員が録音したテープを再生しながら議事録を起こす作業をしている。
      テープから流れる自分の声を聞くのが恥ずかしくて外へ出ることにした。

      廊下へ出たところで、何か喉につかえた感じで咳が出た。咳をすると更に胃に近い場所で
      何かがつかえている感じがして強い吐き気に襲われた、慌ててトイレに走る、吐瀉物は
      黒っぽい色に見えたが良く見るとたくさんの血が混じっていたのだ。それを見て体中の力が
      抜けてしまいトイレの中でへたり込んでしまった。心配して様子を見に来た組合役員が
      びっくりして「救急車呼べ!」と叫びながら出て行った。その声を聞いて、救急車は
      ちょっと勘弁して欲しいなと思った。

      結局、すぐ近くの病院に担ぎ込まれたのだが、やはり極度のストレスが原因だったようで、
      後日、精密検査をするとは言われたものの、点滴を打って、薬をもらい2時間ほどで帰宅を
      許された。書記長がやって来て「あとはトップ交渉だ、おまえ良くやったじゃないか、
      委員長が誉めてたぞ」と言ってくれたものの、それが本心なのか、俺に気を遣って
      そう言ったのかは分からなかった。

      次の日出勤すると、そこはいつもの会社の風景だった。課長も次長も同僚も、俺に普通に
      挨拶をした。隣では女子社員が昨日見たというドラマの話をしている。俺が昨日、会社の
      役員達と会議室で賃金引き上げ額や査定制度導入について必死に交渉していた事も極度の
      ストレスから血反吐を吐いた事も、誰も知らないようだ。しかし考えてみれば当然だった、
      俺だって組合役員になるまでは春闘なんて他人事だったのだから。

      組合の掲示板に春闘の速報が貼りだしてあった。賃金引き上げ額はトップ交渉の末、
      更に300円積み増しされ、会社側が提案していた査定制度の事は何も触れられていない。
      そして大きな文字で「23時30分妥結 各職場闘争態勢解除のこと」と書いてある。
      となりで見ていた先輩社員は「ちぇ!組合は、もう少し頑張れよなあ」と言っている。
      別に怒りは湧いて来なかった。俺だって去年はそう思っていたのだ。

      春闘終了後、組合役員は自分の担当する地区や職場で集会を開いて、交渉の内容や妥結に
      至った経緯等を説明して回らないといけない。集会と言っても就業時間後に行われる事も
      あって、あまり出席率は良くないのだが・・俺は交渉委員長だった事と、俺の体調を
      心配した執行部の気遣いもあって今回は説明役を免れた。後で聞いたのだが俺の血反吐を
      吐きながらの交渉は、各職場で組合役員から大げさに、また感動的に語られたのだそうだ(笑)

      それだけでなく上部団体である○○労連の機関誌の春闘特集号でも、俺の事が取り上げられ
      『吐血しながらも会社の合理化案をはね除け高額回答を勝ち取った若き交渉委員長』として
      写真付きで紹介されてしまった。また、この記事を見た社会党(当時)の代議士が、
      俺の事を食事に誘ってくれたり、社会党が主催する勉強会に呼んでくれたりした事もあった。

      交渉のやり方は滅茶苦茶だったに違いないのだが、最後に血反吐を吐いたのがどうやら
      功を奏した形となった(笑)
      委員長は「初めてなのに大したもんだ、来年もその調子で頼むぞ」と言っていたのだが、
      次の年の交渉では思い切り型にハマった交渉戦術を強制された事からも、それは本心でない
      事がわかると言うものだ。

      さて比較的順風といった感じの俺の組合役員生活に、その後で暗い影を落としたのは、
      俺の宿敵E課長(当時は主査)の登場からだった。その話をちょっとだけ書いてから、
      この話は終わろうと思う。

      つづく


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月04日(木)04時48分50秒  ■  ★ 

      4月3日(晴れ)

      春闘話6回目

      その次の年の春闘でも会社は査定制度導入を絡めた交渉をしたかったのだろうが
      例のセクハラ取締役の話題が蒸し返されるのを会社側が嫌ったのか、査定制度の
      話は出なかった。次の年の春闘で無難に交渉委員長を勤め上げた俺は、執行部に
      入り調査部長という肩書が付いた事もあって、上部団体である
      ○○労連の会合へ出席する事もあったりした。社会党(当時)の代議士に世話に
      なったり上部団体でも多少顔が知られるようになって、俺は一端の労働運動家
      みたいな気分になっていた。

      その年の9月に組合役員の選挙があった。前に「組合活動は政治活動」と書いたが、
      まさしくその通りで選挙で選ばれる以上、常に選挙権を持つ組合員の目を意識して
      いないと長期に渡って組合役員を務め組合の中でのし上がっていくことは出来ない。
      ただ俺の場合は血反吐事件のお陰で確固たる支持基盤が出来上がっていたので
      再選に関しては何の心配もしていなかった。ところが選挙を前にして事件が発生した
      のである。

      労働組合は組合員から毎月組合費を徴収していて、毎月の組合費は収入によって
      5.000円から9.000円ほどである。上部団体に多少吸い上げられるものの、かなりの
      額が組合に集まる事になる。この資金は当然厳重に管理され、更に組合の役員でない
      人間が会計監査委員に任命されてチェックをする事になっている。

      しかし労働組合であっても会社組織と同様、表には出せない使途の金が存在する。
      それは決して組合役員の私腹を肥やす目的ではなく組合の目的を達成する為に使う金だ。
      俺は執行部の中では一番下っ端だったので具体的な内容は良く知らないが、会社の
      役員を連れて高い店に飲みに行ったり、敵対する組合の幹部の素行調査の為に
      興信所を使うといった感じに使っていた金のようだった。

      執行部に入ってからは、この裏金作りに俺も加わって知り合いのタクシー会社や
      居酒屋チェーンの店長から白紙の領収書綴りをもらったり、私生活で使った金に
      ついても組合の名前で領収書を切ってもらう等の工作をしていた。こういう事について
      最初は違和感を感じたが、他の幹部役員が当然といった感じでやっていた事もあって
      俺も何の疑問も感じなくなっていた。

      ここでE課長(当時は主査)の登場である、実はEは第3組合の委員長だったのだが
      (以前は1つだった組合が第1〜第3の3つに分裂していた)Eが委員長を務めるように
      なって以来、第3組合は弱体化し組合員も減少し始めており協議の結果、俺が所属して
      いた第1組合に吸収される事になったのである。
      そしてEは2人目の書記長として執行部に入ってきたのだった。第1組合に吸収される
      事については第3組合内でも激しい抵抗があったようなのだが、それらの意見を無視して
      飄々としているEに対して俺は嫌悪感を感じていた。

      そして、このEが事件の首謀者である。
      先に説明した使途不明金についてEが告発文を掲示したのだ。
      「私は第3組合からやって来て、途中から執行部に入りましたが、多額の使途不明金の
      存在を知りこの事を皆さんにお伝えしなければならないと思い、断腸の思いでここに
      告発します」そんな事が書いてあった。

      Eは組合が分裂する前から執行委員をやっていたのだから、こういう事は前から知って
      いたし、自ら裏金作りに関わっていたはずなのに、どうして今さらこんな事をしたのか?
      それは間もなく行われる選挙を睨んでの行動だったのだ。この事件のお陰でその選挙では
      旧第3組合グループが勢力を延ばしEは組合内で大きな力を持つようになったのだった。

      旧執行委員はほとんど職を追われ、俺は何とか執行部に残ったものの調査部長と交渉
      委員長の職責は解かれ、教育宣伝部長という比較的どうでもいい役職にされてしまった。
      そして次期春闘ではEが交渉委員長となり、何と会社側提案であった査定制度導入を
      あっさりと飲んでしまったのである。
      しかもそれは臨時給や職能給だけでなく、今まで勤務年数で決まっていた主幹クラスまで
      への昇格にも査定制度が導入されていたのだった。

      そして主査だったEは7月の人事異動で課長代理に昇進し、組合を辞めて勤労課の
      課長代理となり後には課長へ昇進した。沈没寸前の第3組合委員長だったEは反対を
      押し切って第1組合に合流し使途不明金を暴露する事で第1組合内で大きな力を持つ
      こととなり、組合員を裏切って会社の悲願だった査定制度導入を受け入れることで、
      課長のポストを手に入れたわけである。

      このEの寝返り事件で当然組合は大騒ぎとなり、裁判沙汰になる寸前までいったのだった。
      俺も組合の担当弁護士のところへ何度か足を運び背任罪等が適用できないかどうか検討した
      くらいだった。勤労課の課長代理となったEは組合から何かある度に集中砲火を浴び家には
      多数の嫌がらせ電話がかかってくるなど胃に何度も穴が開くくらい酷い目に遭う事になるの
      だが、それは自業自得と言うものだろう。

      俺は、この事件がきっかけで組合活動に嫌気がさして組合役員を辞めることにした。
      「いつかEの下で働くような事になるんじゃないだろうな」と冗談で言っていたのだが
      後に現実の事となってしまう。

      春闘話は今回で終わろうと思ったけど疲れたので、もう一回つづく


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月10日(水)23時41分50秒  ■  ★ 

      4月10日(晴れ)

      春闘話7回目

      さて話は今年に戻る。今年の春闘では最初に言ったとおり大幅な賃金カットや
      残業時間規制がどうなるか注目を集めた春闘だった。そして交渉委員長には一昨年
      選挙で選ばれたばかりの若手の地区長が抜擢されていたのだ。俺が交渉委員長を
      務めていた時以外は、いつも書記長が交渉委員長を努めていたのでやはり異例の
      抜擢だったようだ。

      交渉委員長に抜擢されたK村は俺の6年後輩で、同じ本社勤務なのだが、ほとんど
      話をした事が無かったので、どういう奴なのか詳しくは知らない。しかし相当の
      切れ者のようで今年の春闘では大活躍したようだ。

      特に残業時間規制については交渉の1ヶ月前から組合独自の赤い紙で作ったタイム
      カードを一部の組合員に極秘裏に配布して会社のタイムカードとは別に実際の退社時間に
      タイムカードを打刻させた。
      これによってサービス残業の動かぬ証拠を掴み団体交渉の席で労働基準監督局への告発と
      未払い残業手当の支給を要求する訴訟を起こすと会社側に迫った。

      また賃金カットについても監督官庁、特殊法人からの天下り役員や管理職に支払われる
      賃金を具体的に算出し、さらに不要と思われる管理職ポストを挙げて、無駄な管理職を
      削ることで賃金カットを中止出来るだけの原資を捻出出来る事を証明しつつ賃金カット
      即時中止を会社に迫ったのだそうだ。

      結果としては賃金カットについては現状の13%カットから3%カットに緩和され、残業
      時間規制は撤廃された。ベースアップに関してはゼロ回答で定期昇給のみだったが、
      これは世の中の情勢を見れば仕方ないだろう。ちょっと計算しただけでも来月からの
      俺の手取り給与は6〜7万ほど上がることになる。

      去年の暮れに給与が大幅にダウンになると聞いた時、俺は「たまには、こういうのも
      良いんじゃないか」と思った。「1日\2.000で生活してみる」とか「外で飲むのをやめて
      自分の家や友達の家で飲むようにする」みたいな感じで赤貧生活を楽しんでみようと
      思っていたのだ。しかし人間とは欲深いもので、そんな生活にはすぐに飽きてしまう。
      半年間も、こんな生活をしていたらどんどん気分が暗くなってしまい、真面目に会社を
      辞めようかと思ったくらいだった。しかし来月からは何とか以前の生活レベルに戻せそう
      である。

      俺は心の中でK村に喝采を送った。交渉委員長という仕事の重みが分かるだけに、
      一度ゆっくり話す機会を作って労ってやりたいと思った。現在も組合役員をやっている
      N田が、俺のところへやって来て「K村は凄かったぞ、昔のS川みたいだったよ」と
      言った。俺は膝を震わせながら経営側に向かって要求書を読み上げた昔の事を思い出し
      ながら、あれはあれで良い経験だったなあと思った。

      春闘妥結の5日後、社員がよく集まるビル内の喫茶室で、偶然K村の近くに座った。
      俺がK村の方を見ると向こうは会釈してきた。『今年の交渉委員長は凄かったらしいね(笑)』
      「S川さんには負けてますよ」『近いうち飲みに行かない?』「ええ、是非。ところで
      S川さん組合役員に復帰するつもりは無いんですか?」『もう、俺の出る幕じゃないよ』
      「書記長が戻って欲しいって言ってましたよ」『もう選挙で勝てないって』「うちの地区の
      組織票だけで楽勝じゃないですか」ちらりとこちらを見る人影が見えた。それはE課長の
      腰巾着であるK藤課長代理だった、俺は悪戯のつもりで『役員になったらE課長とH川部長は
      真っ先に血祭りにあげないとなあ』と言ってみた。「当然でしょう、やりましょうよ」
      俺の意図が分かったのかK村がそう答えた。

      その数日後からH川部長は俺のことを「Yちゃん」と馴れ馴れしく名前で呼ぶようになり、
      E課長は俺とすれ違う時に会釈するようになった、俺はその時には軽く頷いてやるように
      している。

      春闘話終わり


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月11日(木)23時52分07秒  ■  ★ 

      4月11日(晴れ)

      昨日の午後、M理と外回りに出ることになった。あまり行きたくないところなのだが
      M理と一緒なので気分的に救われた。大きな荷物を運ぶため社用車のバンで出かけ
      俺が運転する。用事が済んで帰り道、M理が「ここのお寿司屋さん美味しいんですよ〜」
      と言って外の寿司屋を見た。「今度ここでご馳走してくれます?」『ああ、そのうちな』
      まあ社交辞令というやつである。

      イタリア料理店でM理の胸の大きさに気付いて以来、M理と話す時はつい一瞬、
      M理の胸に目がいってしまう。「S川さん、良く私の胸見てないですか?(笑)」
      『ああ、俺は透視出来るからな』こうやってすかさず冗談で切り返せるようになれば
      立派なオヤジである。『M理さぁ、胸はいくつよ?』「2つ!」『それ、すごく古い
      ジョークなんですけど(;´Д`)』「じゃあ当ててみて」『当たったらオッパイ触らせるか?』
      「はずれたら、あそこでお寿司奢ってね」女性の多い職場に異動してきて本当に良かった。
      クルマの動きに合わせて揺れるM理の胸を見ながら、この時もそう思った。

      そうこうしているうちにクルマは会社に着き地下駐車場へ入る。M理は総務課へ預かった
      荷物を届けに行った。M理の私物や自分たちの職場に持ち帰る荷物が車に残っているので
      俺は車の中でM理が戻るのを待つことになった。

      M理とよく似た体型の女性を思い出した。俺はその女の子に携帯からメールを打った
      【これは決してシモネタじゃない。真面目な質問なので答えてくれ、君のブラのサイズを
      教えて欲しいんだ】彼女はすぐに返事をくれた「D70です」そう返事が来た。
      信じられないかもしれないがこれは本当の話だ。

      M理が帰ってきて車に乗り込んできた『さあて、当ててみるか』「外れたらお寿司だからね」
      M理の胸は、さっきのメールの子より若干小さいようだ。『C70!』M理はハッとして
      胸を軽く押さえた「ぴったり(笑)」『じゃあ触っていいな?』俺の手がM理の胸に伸びる。
      少しでも嫌がったらやめるつもりだったがM理は笑いながら俺の手を見つめている。
      就業時間内、会社のビルの地下駐車場、車内という密室・・こういう状況の中で、俺の
      海綿体にどれだけの血液が流れ込んでいたか!君たちなら痛いほど分かってもらえると思う。

      終わり


> れぼりゅーしょん  投稿者:だせえ君  投稿日:04月12日(金)13時20分29秒  ■  ★ 

      > 早く続きを教えてください!!!
      > 「こっちもいいだろ?ほら、大人しくしろっ!!モミモミモミ…」
      > ってしたんだろ?正直に答えてくれ。
      > 04月11日(木)23時52分07秒

      敢えて話をそこで終わらせたんだけどな、妄想が膨らむように。

      実際には胸は触ってないよ、抵抗しないで触られるのを待っているM理を見て
      激しく理性が揺れたのは認めるが・・もし触ったら「S川さんに胸を触られちゃ
      った〜」と言いふらされるのは必至だし、M理だってそういうネタが欲しくて
      敢えて抵抗しなかったんじゃないかなと思う。

      ついでに言うと、M理が行きたがってた寿司屋は1人1万円は取られる店だそうで
      俺がブラのサイズを当てられなかったら、とんだ散財になるところだった。
      月並みだが女は怖いよ。


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月15日(月)03時37分37秒  ■  ★ 

      4月14日(晴れ)

      今日都心に向かって京葉道路を走っていると隣の車線から黒いハイエースが
      かなりキワドイ割り込みをして来た。俺は自慢の新幹線ホーンを10秒間浴びせ続け、
      テールtoノーズ&連射パッシングで後ろから、さんざん煽ってやるとハイエースは
      生意気にもフルブレーキングをかけて応戦してくる。俺は車をピッタリと幅寄せしながら
      左側から追い越しをかけた。

      追い越しざま怒鳴りつけてやるつもりでウインドウを開けるとハイエースの助手席側
      フルスモークの窓が開いた。そこには、どう見てもアッチの人と思われる凄みの効いた顔があり、
      いかにも慣れた仕草で俺に睨みを利かせている。こういう事は過去に何度かあった、
      しかし俺はもう馬鹿な事をやる年じゃない。こんなトラブルに巻き込まれていては
      笑いものになるだけじゃないか、深い後悔の念が襲った。

      動力性能では、俺の車の方が明らかに上なのだが、この先には錦糸町料金所がある。
      そこが渋滞していたらもうオシマイだ。渋滞最後尾についた途端に、あのガタイの良い
      オヤジは俺の車のところまで走ってくるだろう。その後、どんな目にあうかは簡単に
      想像できた。一体あのハイエースには何人乗っているのだろうか?
      だいたいヤクザならヤクザらしくセンチュリーとかベンツに乗るなり組の代紋を貼って
      おくなりしておいてくれれば、こっちだって最初からそれなりの対応をして差し上げるのに。

      錦糸町料金所が近づくと案の定2車線ともスピードが落ちる『ダメか・・・』
      しかし、そこには天の助けが!【ETC専用】と書かれたレーンが一番右側にあった。
      そう俺のバッキンガムブルーパール塗装に輝きローダウンサス&メッキホイールで
      足下を固められたスーパーマシンにはETCが装備されているのだ。
      今まで錦糸町料金所のETCゲートはETCと一般車兼用で運用されていたのだが、
      最近ETC専用レーンが出来たようだ。

      右側専用レーンに抜ける隙間をを塞ごうとしていたファミリーカーを新幹線ホーンで
      蹴散らしETC専用ゲートへ向かう
      すぐ後ろにハイエースが迫って来るのが見える。ETCゲートのLED表示が【減速】から
      【通過】へと代わりゲートが開くとアクセルを床まで踏んでフル加速した。
      ミラーを見るとハイエースが閉まったゲートの前でフルブレーキングしているのが見えた。
      俺は錦糸町料金所先のオービス(自動速度取締装置)を抜けると同時にさらに加速し
      猛スピードで両国JCTを抜け箱崎出口で降りた。駐車場に車を入れた時、目の前の
      通りにパトカーが見えて何となく安心した。
      この時しみじみと『やはり警察っていうのは必要なんだな』と思った。
      つうか俺って情けねえなと思った。

      注)ETC(自動通行料金収受システム)http://www.jhnet.go.jp/etc/


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月16日(火)23時20分28秒  ■  ★ 

      4月16日(曇り一時雨)

      夜の10時近くに駅前のロータリーのところで明らかに頭がおかしいと思われる
      オバサンが大声で笑っていた、花壇に腰をかけて、本当に心から笑っていた。

      アングラ劇団の芝居の稽古みたいだなと思いながら、そちらの方を見ないで
      声だけ聞いていた。その笑い声は心の底から笑っているようでいて良く聞いて
      みると、どこか悲しげにも聞こえてきた。

      人間は嬉しくても涙が出るし、あまりに悲しくて笑ってしまう事もある。もし
      かしたら頭がおかしいんじゃなくて、すごく辛いことがあってそうしているん
      だろうか?立ち止まって振り返るとそのオバサンと目があった。

      そのオバサンは俺の方を指さしてギャーッハッハッハと笑い出した。本当に
      頭のおかしいオバサンだったようだ(;´Д`)


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月24日(水)11時44分41秒  ■  ★ 

      4月24日(晴れ)

      期待の大型新人S川君

      うちの会社では、ちょっとした汚れ仕事用に契約社員を雇っている。
      以前は人材派遣会社から派遣してもらっていたのだが定着率が悪かった為、
      自社で直接雇うようになった。時給計算の給与で1年毎の契約更新、ボーナスは
      雀の涙という待遇にも関わらず不景気のためか最近は定着率も良くなった。

      そこで今まで働いていた人が3月一杯で辞めたので入れ替わりで新しい人間が
      入ってきたのだが、こいつの名前がS川といって俺と同じなのだ。
      しかも新人のくせに態度がデカく使えないと言う評判の奴なので俺としては非常に
      迷惑だ。どのくらい態度がデカイのかと言うと、社内ですれ違う時に、正社員であり、
      上司であり、十数年先輩である俺に対し高いところから見下すような視線を投げてくる、
      つい俺の方から挨拶してしまうとワンテンポ遅れて偉そうに頷くのである。

      年齢は30歳で前歴は今のところ不明、デブで、知ったかぶりが多くて覚えが悪く、
      入社初日からタメ口連発でひんしゅくを買い、オタクっぽい私服で通勤という情報
      以外に詳細は不明だ。契約社員は俺の所属する部に属しているのだが、俺は直接
      接する機会は少なく、うちの課の女子社員と主に連携して仕事をやっている。
      課内の女子社員の間ではこのS川君の話で盛り上がっている。
      「あ、明日はS川さんと一緒だ、最悪・・・あゴメンなさい、あっちのS川さんの事ですよ」
      『・・・なあ、頼むからあっちのS川の呼び方を変えてくれよ、デブとかアニオタ君とかさ』

      彼が来てから2週間になるが、未だに一言も話をしていない。


だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月28日(日)14時52分51秒  ■  ★ 

      4月28日(晴れ)

      期待の大型新人S川君の続き

      S川君とは相変わらず話をしていない。態度がデカイと書いたが、本当に並の態度の
      でかさでは無いのだ。そして漂ってくる雰囲気も常人のモノとは明らかに違う。
      入社当日、S川君が通路から、うちの課の部屋を数秒間覗き込んで黙って去っていった。
      本人にしてみたら挨拶のつもりだったのだろうか?
      一瞬課内の空気が凍り付いたが、M理の「何よあれ」と言う声で課内は爆笑に包まれた。
      とにかく常識が通じない系のオーラを激しく放っている人物だ。

      しかし仕事上全く関わらないというわけにもいかないので、ある程度の情報を入手して
      おく必要がある。あの強烈なキャラクターであるから、いつかは何かをしでかすに違いない。
      その時に慌てない為にも彼のプロフィールをある程度把握しておかなければならないと
      考えたのだ。契約社員の中に俺のゴルフ仲間であるK林という奴がいるのだが、彼に
      S川君の人となりについて、それとなく調べるように命じた。

      その結果は以下の通り

      ・住まいはなんと【白金台】(親は金持ちらしい)
      ・前職については口を閉ざす(元引き籠もり?)
      ・過激なガンマニア
      ・ゲームにもかなり詳しい(おそらくアニメも?)
      ・服装はデニムの上下を好み、帽子までデニム地を愛用

      ここまで書いて、おそろしくなった。@みらいや、ぁぃぁぃの住人像とカブるじゃないか。
      たまに本店を覗くようなら、ここを読む可能性が無いとはいえない。なので、これ以上の
      詳しい話は、彼がパソコンを所有しているか等詳しく調査してからにしたいと思う。



番外編

だせえ  投稿者:せえ君  投稿日:05月03日(金)08時40分16秒  ■  ★ 

      5月2日(くもり)

      更に大型新人S川君の続き

      S川がパソコンを所持しているか否かについてだが、大方の予想通り彼は所持していた。
      更に驚くべきことに彼はあやしいわーるど本店の住人だったのだ!(;´Д`)
      しかも普段の発言からして、かなり本店色に染まっていることも分かった。
      例えばこんな様子だ。

      「この仕事は今日までだったのですか・・・。すいません。 ぺこり。」
      「えっ、休日の過ごし方ですか? そうですね・・・家でゴロリパタリとしてますよ」

      彼がこのだせえ日記を読んでいるかどうかは分からない。だが、俺も既に30才を超える
      老体だ。そろそろ身の振り方を真剣に考えなければならない。

      従って、だせえわーるど@本店は5月5日午前0時を持って閉鎖することに決めた。
      急な決断だが致し方がないことだ。理解して欲しい。

      だせえわーるど@本店にアクセスしてくれた80000人弱の仲間達へ。
      本当にありがとう。そして、さようなら。


> たせえ君  投稿者:だせえ君  投稿日:05月04日(土)12時43分01秒  ■  ★ 

      > 5月2日(くもり)
      > 
      > 更に大型新人S川君の続き

      いいから、もっと続きを書け(´∀(●=(゚Д゚ ) 



おまけ

だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:05月06日(月)23時03分03秒  ■  ★ 

      「沈まぬ太陽」という本を知ってるか?

      日本航空を舞台にした実在の人物をモデルに事実に基づいて書かれた小説だ。
      日航労組の元委員長である小倉さんという人がモデルなのだが、組合活動に
      従事したことのあるサラリーマンなら、他人事とは思えない物語である。

      レベルが全く違うとは言え、読み進む中で何度も過去の自分と重ね合わせて
      しまった。しかし旧国鉄、旧電電公社、半官半民時代の日本航空、そして郵政
      事業等、役人の絡んだ組織の労務政策というのはどうして、これほどまでに
      陰湿なのだろうか?

      書いてある内容を全て鵜呑みにしてしまうのは危険かも知れない。かつての
      日航労組にも問題はあったのかもしれないし、小説なのだから善悪のコント
      ラストをはっきりとさせる為に誇張した表現も使われているのだろうとは思
      う。そうでないと、この本を読んでいる最中に会社からJAL便での大阪出張
      を命じられた俺は可哀想すぎる。

      まあ、とにかく無職引き籠もりの君や、ゲームやアニメで現実逃避している君
      にも是非読んで欲しい1冊つうか5冊である。



だせえ  投稿者:だせえ君  投稿日:04月04日(木)13時33分35秒  ■  ★ 

      因みに俺はこれな

      性格 

      自分の人生をタップリと楽しんで居る、云って見れば幸せなタイプです。それ
      は貴方が、男で有っても、女で有っても、又、お金持ちで有っても、貧乏で有
      っても同じ事で、性別や貧富の環境に関係なく、苦しみの中に楽しみを見つ
      け、悲哀の中に喜びを見ていけると云った風に、心境の自在さ、無碍さと云う
      ものを持っている稀少なタイプです。云い換えれば、人生を達観している人と
      云うことが出来ます。何事も合理的な判断の基に、割り切ったものの考え方を
      出来る人で、喜怒哀楽の感情の豊かな人です。又、人生を自分の為に生きる知
      恵と方法を、良く心得ている人でもあります。 

      恋愛・結婚 

      貴方の場合は、結婚しても良し、結婚しなくても良し、どんな境遇に置かれよ
      うと、男なら男らしく、女なら女らしく、生きて行けるタイプです。例えば、
      晩婚の見本のような存在になった場合でも、決してギスギスした容貌や態度に
      なる事は少ないでしょう。それは趣味や娯楽が豊かで、これだけが命の綱と、
      何か一つに執着するタイプでは無いからです。だからと云って、アンチ結婚を
      勧める訳では決して有りません。貴方の場合は、結婚した方が、より幸せにな
      れるタイプだと思うからです。 

      職業適性 

      性格から判断すると、大概の職種はこなして行ける巾の広さを持ち合わていま
      すが、最も御勧めしたいのは、芸能、芸術、文芸の分野に関連した仕事です。
      そうすれば、好奇心が旺盛で自由闊達な感情の持ち主である貴方の特性が、高
      い判断力、実行力を土台にして、生き生きと伸ばされて行く可能性が大きいの
      です。一般会社勤めの場合は、企画宣伝、商品開発、営業などの部署に適応性
      があります。 

      対人関係 

      人付き合いの場で、今後もう少し気を付けた方が良いと思われる点は、合理主
      義に徹した計算高さを、余り表へ出さないようにする事と、自由奔放な言動
      を、なるべく控え目にして行く事の二つだと思います。



     だせえ君日記 その1 その2 その3 その4 その6 その7
     その8 回顧録 おざなり 宵の明星 まほろば ギャハ日記


だせえわーるど@本店 からの転載をまとめたものです。


コンテンツ:びでメール エロゲ 森の妖精 ルーザー 湖畔論 スワティ 替え歌 (゚Д゚)ハァ?

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